YouTubeに『眼内レンズ交換』の手術動画をupしました。
当院には白内障手術のあとの見え方の不具合で『眼内レンズを入れ換えたい』と来院される患者さまが時々、いらっしゃいます。
眼内レンズを取り出して新しいレンズに入れ換える『眼内レンズ交換』を2年間で25件行っていますが、これはおそらく結構多い数だと思います。
年間2,000件ほど白内障手術を行っている昭和大学藤が丘の先生に聞きましたが、ここ数年で眼内レンズ交換は全くしていないと言っていました。
（藤が丘では、レンズが傾いたり、落下して、取り出して新しいレンズを目に縫い付ける強膜内固定はたくさん手術していますが）
眼内レンズ交換はないに越したことはない手術ですが、あくまで計算と患者さまの見え方の理想（予想）でレンズを選ぶ以上、術後に思った見え方でないと感じる可能性はゼロではないと思っています。
もちろん、眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが苦でなければ、そのままでもよいと思いますが、その不自由な見え方のまま何年も何十年も過ごすことを考えると、眼内レンズ交換も治療の選択肢として考えるのも決して悪いことではないと思いますし、むしろ、必要なことと思っています。
当院にレンズ交換希望でいらっしゃる患者さまは前の先生のところで『もうレンズは取り出せない』とか『そんな危険な手術はしない方がよい』などと言われたという方もいらっしゃいます。
もちろん、手術にはメリットとデメリットがあり、それをよく考える必要や、何より、入れ換えることでよくなる根拠があることが大事ですし、実際、手術でレンズを取り出せない可能性もありますが、適切な時期に適切な方法で手術を行えば、ある程度安全に、レンズを取り出すことも可能と考えています。
（ちなみに、僕はたまたまというか幸い、レンズを取り出せなかったことは今まで一度もありません）
ただ、今のレンズを変えて新しいレンズにする治療を選ぶのは難しいことかもしれません。必ずうまくいくという保証がある訳でもありあませんし（どんな手術もそうですが）、入れ換え後の見え方もあくまで予想になります。僕も計算とレンズの特性から、『“おそらく"こういう見え方になるでしょう』ということしか言えません。
こういう条件の中、僕が白内障の手術をした方でも他の施設で手術を受けた方もいらっしゃいますが、眼内レンズ交換の手術で経過のよい方は、『こういう見え方をしたい』という明確な希望があり、自分でよく考え、リスクも覚悟の上で今の状況をなんとか改善したいと決意して手術を受けた方と感じています。（仮にうまくいかなくとも、そういう方はそれからまた前向きに次の治療に進んでいけると思いますし、よくなるように僕もできる限りのことはしていきたいと思っています。）
今回の動画は白内障手術後3ヶ月で入れ換えを行った患者さまの手術動画です。
時間は10分程度でそれほど大変でない印象を受けるのではと思います。
簡単な字幕説明もつけておりますので、これから眼内レンズ交換の手術を考えている患者さまに観ていただき、少しでも参考になればと思います。
眼内レンズ交換の手術を受けるのは大きな選択だと思いますが、そういう決意をして受ける選択をしてくださった患者さまには、なんとかうまくレンズを取り出し、新しいレンズを入れ、希望の見え方を少しでも実現できるように最善を尽くしたいと思っています。
以下、動画の説明文を添付します↓
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
白内障術後の眼内レンズの不具合でレンズを取り出し、新しいレンズを入れる『眼内レンズ交換』の手術動画です。
通常、『白内障術後１ヶ月すると、癒着で眼内レンズが取り出せない』と言われることが多いようですが、必ずそういうものでもなく、この患者さまは術後３ヶ月でしたが、レンズの癒着が少なく容易にレンズを取り出すことができました。
角膜に作るキズも約2.5mm程でレンズは眼内用のハサミで半分に切開し取り出し、キズを縫う必要もありません。
白内障術後に『レンズの度数が計算とずれてしまった』『思っていたのと違う見え方になってしまった』『多焦点レンズがあるのを知らなかった』『多焦点レンズが合わなかった』などの不具合では眼内レンズを交換することで症状の改善を見込める場合があります。 一般的には『眼内レンズを入れ換えるのは難しい、危険な手術』と言われ、眼内レンズの眼組織の癒着の程度によっては簡単には取り出せないこともありますが、必ずしもそうではなく、適切なタイミングで適切な処置を行えば十分安全に行える手術と考えています。
この動画が白内障手術の後の見え方の不具合で困っている『眼内レンズを入れ換えたい』を考えている患者さまのご参考になればと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
