先月9月の手術の報告です。
先月9月の当院の手術は、
白内障52件(多焦点眼内レンズ16件 乱視矯正トーリックレンズ13件)、硝子体手術4件、IOL強膜内固定1件、眼瞼下垂13件、霰粒腫12件、睫毛内反症(逆さまつげ)2件、アドオンレンズ挿入2件などでした。
1週間夏休みで診療がなかったのですが、その割には手術件数は多かったと思います。
睫毛内反症というのはいわゆる逆さまつげの状態ですが、小さな頃から下まぶたの皮膚により睫毛が押され内側を向いてしまう状態で、眼の表面(角膜)に当たると角膜にキズがついたりゴロゴロ異物感が出てしまいます。子どもの逆さまつげは成長に伴いある程度改善されることも多いですが、10歳頃までに治らない場合はその後も治らないとされています。
今月の内反症の手術の患者さまは40代の女性でしたが、やはり小さな頃から逆さまつげで苦しみ、今回、ようやく手術をすることに決めたそうです。
手術では睫毛の生え際の角膜側に切開を入れて外側に向きやすくし、それに加え、睫毛の下側の余分な皮膚を切除し、下瞼の中にある瞼板という軟骨のような組織に皮膚を固定し睫毛が内側に向かないようにクセとつけて縫合するような手術を行いました。これで長年の辛さから解放されてくれたらいいなと思います。
白内障手術では新たにEyhance(アイハンス)というレンズを使い始めました。
このレンズは完全保険適応の単焦点レンズに分類されますが、単純な単焦点レンズではなく、レンズの中央部分にカーブがある構造をしており、『収差』という現象を使うことで焦点深度(見える幅)を作ることができるレンズです。
レンティスも焦点の幅のある単焦点レンズですが、構造が全く異なっており、アイハンスの方が若干焦点の幅は狭くなると思われるものの、単純な単焦点レンズと比べて、弱いところ(ハローグレアやコントラスト感度低下)はないとされ、使った印象ではとても自然な見え方をしているような気がします。
『少し焦点の幅が欲しいけれど、ハローグレアが出ると困る、なるべくくっきりした見え方がいい』という方にはよいレンズだと思います。
眼内レンズも色々ありますが、一長一短あり、どのレンズがよい悪いではなく、どのレンズが合うかということがとても大切だと思いますので、患者さまの眼内レンズ選びの役に立つよう、なるべく情報を提供していきたいと思います。
では、来月もどうぞよろしくお願い致します。
※10月の手術と混同があり一部訂正させていただきました。申し訳ありません。(2021年11月8日)