今日は午前は外来で午後は手術でした。
手術は白内障13件に黄斑上膜の硝子体手術1件でした。
元々、予定の手術は白内障12件でしたが、昨日、初診となった白内障によって眼圧が上昇していた患者さまが緊急で追加になりました。
白内障で緊急??と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、病状的に緊急で白内障が必要になることがあり、急に眼圧が上がってしまう、急性緑内障発作では緊急で白内障手術をしなければならないことがあります。
黄斑上膜の患者さまは他院で多焦点レンズの白内障手術を受けた後、見え方がよくなく、黄斑上膜の影響かということで、当院にいらっしゃいました。
黄斑上膜の影響もそんなに強くなさそうでしたが、見えにくさの原因としての可能性は否定できなかったので、手術で黄斑上膜を取ることにしました。今日の手術では黄斑上膜を剥がした後、眼内レンズが入っている水晶体嚢の濁りが多焦点レンズの機能を妨げているような印象もあったので、水晶体嚢の表面を切った部分(CCC切開部)を一回り大きく切開する処置も追加で行いました。
この患者さまは前回の白内障手術の後、精神的に負担を受けてしまい、最初はなかなか治療というか受診することも難しい状態でした。でも、旦那さまの献身的なサポートと励ましのおかげで、前向きになれ、今回、手術を受けることができました。
旦那さまの協力と何よりご本人の頑張りに、僕も応えられるようにと頑張りましたが、なんとか見え方がよくなってくれるといいなと思います。
眼圧が上がって緊急的に手術になった患者さまは水晶体の支えが弱いことが予想され、手術も難しいかと心配しましたが、若干、チン小帯が弱いくらいだったので、水晶体嚢の中にカプセルテンションリング(CTR)という細いリングを入れ、水晶体嚢の固定を補助して終えました。水晶体が外れてしまう可能性も考えていたので、そこまで大変にならずによかったです。
時々、他院で『急性緑内障発作を起こしやすいから白内障手術を受けた方がよいと言われて心配で』とか『どうして緑内障なのに白内障手術をしないといけないのか分からなくて』とご来院される患者さまがいますが、白内障手術をすることで厚い水晶体が薄い眼内レンズに変わると、眼の中の水の流れがよくなり、眼圧が急上昇することを防ぐことができるので、急性緑内障発作を防ぐために白内障手術をする訳ですが、急性緑内障発作が起こってしまうと、見えにくさに加え、眼や頭の痛み、吐き気などの症状も出て大変なこともありますし、眼圧が急上昇した状態が続くと、強い視力障害を来し、手術しても視力の改善が得られないこともありますので、そうなる前に対処することが大切です。ちょっと分かりにくい話ですが、白内障手術をする心配より緑内障発作が起こらないかの心配の方がずっと大きいので、急に眼圧が高くなりそうな方は頑張って白内障手術をした方がよいと思います。
ちなみに、今日の手術は14人中13人が女性という偏り具合でした。
(緊急手術がなければ全員女性という珍しい日になりそうでした、、、)
今日も無事、手術が終わってよかったです。皆さま、どうもありがとうございました。お疲れ様でしたm(_ _)m
↑隅角の狭さが分かるCASIAⅡの前眼部OCT
↑眼圧が急に上がると角膜が浮腫んで濁ります。