今日の手術は白内障11件に眼瞼下垂が2人でした。
白内障のうち、2人はiStent(アイステント)といって大きさ1mm程の小さなチタン製のステント(L字型の筒)を隅角という眼の中の水が眼から外に流れ出る部分に挿入する処置を一緒に行なっています。これは『水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術』という手技で初期から中期の緑内障のある患者さまの白内障手術で、隅角にiStentを挿入することにより、眼圧を下げることを狙う処置になります。極端に眼圧が下がるものではありませんが、この処置を行うことで緑内障の点眼をしなくてよくなったり、減らすことが期待できます。処置自体は白内障の手術自体が終わった後に(途中で行うこともありますが)、角膜の上に隅角を見るレンズを乗せ、専用の器具でiStentを1〜2個隅角の線維柱帯という部位に挿入し、最後に眼の中を洗浄、創口を閉じて終わります。白内障の手術にプラス5〜10分程の時間でできます。少し出血を起こしたり、角膜に負担をかけることもありますが、一時的で問題になることもなく、大きな合併症が無いのもよいところです。
緑内障の点眼は眼圧を下げるためにずっとつけ続ける必要がありますが、充血や眼の周りの色素沈着やくぼみ、睫毛伸長、アレルギーによる眼瞼の炎症など副作用に悩まされることも多く、白内障手術プラスαの処置で緑内障点眼を減らしうるiStentは緑内障のある方には検討する価値がある治療だと思います。手術費用は白内障手術のみよりは1割負担で約15,000円増の約28,000円になりますが、緑内障点眼は高いので長い目で見れば、経済的なふたんの軽減にもつながるかと思います。
緑内障をお持ちで白内障手術を予定している方はこのiStentも考えるとよいかと思います。