ひな祭りの今日は一日外来で、手術の申し込みは白内障4人、眼瞼下垂2人、黄斑上膜の硝子体手術1人でした。
眼瞼下垂の方は40代前半の男性で、20年来ハードコンタクトを使っているとのことで、おそらくハードコンタクトレンズが原因の眼瞼下垂と思われます。まぶたはまぶたを持ち上げる『眼瞼挙筋』という筋肉が『挙筋腱膜』という膜状組織を介してまぶたの中にある板状の『瞼板(けんばん)』という組織を持ち上げることでまぶたが開きますが、硬いハードコンタクトレンズを使っていると、挙筋腱膜が弱くなってしまい、眼瞼挙筋がうまく働けずにまぶたが挙がりにくくなってしまいます。(例えば、脚でいうと、アキレス腱が切れてしまうと、ふくらはぎの筋肉がうまく働けずに歩けなくなってしまうようなイメージです)
手術では、この弱った挙筋腱膜を修復する操作を行いますが、特に若い人は筋肉自体はしっかりしているため、手術ですごくよくなるケースが多いかと思います。ハードコンタクトレンズを長年使っていて、まぶたが重い、下がってきた、目が小さくなったなどと感じる方は眼瞼下垂の治療を考えるとよいかと思います。
先週の金曜日に眼内レンズ交換の手術をした患者さまから『朝起きたら全然見えなくなった』とご連絡があり、急遽、予定外でご来院いただきました。見てみると、レンズを出し入れした創口(キズ口)の部分の結膜(白目)から出血があり、それが眼内に入り込んで見えにくくなっていたようです。
↑上方の傷口から出血が入り込んだようです。
急に見えなくなる眼の病気はそう多くはなく、動脈閉塞や視神経の炎症などか、そこまで急でなくとも術後ですと、感染症や網膜剥離などの可能性もあったため、実際に診察するまでは心配もありましたが、悪い病気でなくてよかったです。このように創口から出血が入り込むことは僕自身、初めての経験ですが、出血の量もそう多くはないので少しずつ引くのを待てば大丈夫かと思います。結果的には大したことではなくて(でも、患者さまにとっては大事だったと思います)よかったですが、とにかく術後におかしいと感じた時はすぐに連絡することがとても大切なことだと思います。ご心配おかけして申し訳ありませんでしたm(_ _)m
↑玉川タカシマヤのひな飾り