今日の外来では、『まぶたが重い』、『頭痛・肩こりが強い』、『おでこに皺ができやすい』という症状があり、眼瞼下垂の手術の相談に18歳の男の子が来て、色々、質問してくれました。その質問がとても要点を捉えていて、眼瞼下垂の手術を考えている方に参考になるかと思うので、そのやり取りを記載したいと思います。
①腱膜性の眼瞼下垂なのか?
→筋肉はしっかりしているので、本当の眼瞼下垂ではなく、皮膚の弛みがつよくて眼瞼下垂のように見える(眼瞼下垂のような症状の出ている)『眼瞼皮膚弛緩』とか『偽眼瞼下垂』という状態です。なので、腱膜性ということではありません。
②埋没法と切開法、どちらがよいのか?
→軽ければ、埋没方でも改善が見込めるかもしれませんが、皮膚の弛みが強いので切開法が望ましいと思います。
③眉毛の下で切る方法(眉毛下切開)とまぶたの下の方で切る(睫毛側切開)のではどちらがよいか?
→厚い皮膚の場合、睫毛側で皮膚切除すると、弛みは取れても重い印象のまぶたになってしまうのですが、皮膚の厚さ自体は強くないので、どちらでないといけないことはないです。今とあまり印象を変えたくないのであれば、しばらくは眉毛の下のキズが若干目立ちますが眉毛下切開がよいと思いますし、二重になって印象が多少変わってもよければ、キズが目立ちにくい睫毛側切開を選択してもよいと思います。
④美容外科でするのと眼科で手術するのはどちらがよい?
→美容外科は見た目を重視、眼科は機能面を重視する傾向があり、どちらがよいというものでもなく、その点での選択になるかと思います。ただ、実際に行う手術はほとんど一緒と考えてよいかと思いますし、個人的には機能の改善が主目的としてもやはり見た目も大切なので、なるべく見た目も満足のいく手術を行いたいと思っています。
⑤保険でできるのか?
→見た目の改善を目的にするなら自由診療になりますが、症状の改善を目的にするのであれば、保険診療に当てはまるので、まぶたの重たさ、頭痛、肩こりなどの症状があっての手術なので、保険診療で手術できると考えます。
高校を卒業したばかりの男の子でしたが、とても的を得た質問で感心してしまいました。もちろん、何も調べずにご来院いただいても一からお話していますが、ある程度、基礎知識があった方がより理解しやすいと思いますし、何よりご自分の体のことなので、自分で調べることも大切なのかなと改めて思った一日でした。
↑相談に来た男の子のまぶたの写真。