今日は1日外来で、手術の申し込みは白内障4人、眼瞼下垂1人、眼内レンズ偏位の強膜内固定1人、霰粒腫1人(8歳女の子)、眼内レンズ交換1人でした。
今日の眼内レンズ交換の手術の申し込みをいただいた方は、5月の終わりに横浜市内の他院で左眼の白内障手術を受けた50代前半の女性です。元々、遠くがよく見えている眼だったのですが、単焦点レンズのピントを『近くに合わせたい』と希望したところ、担当の先生から『元々、遠くが見えていたのに近くに合わせると、遠くがすごく見えにくいと感じてしまう』と言われ、間を取って、中間合わせにしたそうです。結局、50〜60cmにピントが合う軽い近視になったのですが、『思った以上に遠くが見えなくて困る』状態になってしまい、相談にいらっしゃいました。
結果的には担当の先生のおっしゃる通り、最初から遠方合わせにしたらよかったのでしょうが、そこが白内障手術の難しいところで、術後の見え方はあくまで想像するしかできず、今回のように『思った(想像していた)以上に見えにくい』というようなことは起こりうるのかと思います。
特に若い方では、単純にピントの位置の問題だけでなく、単焦点レンズでは、調節力がなくなり、急に老眼が進んだような見え方になってしまうのも、このような不具合を生じる一因かと感じます。
今回のようなケースを少しでも防ぐために、単焦点レンズでもアイハンスやレンティスコンフォートのような通常の単焦点レンズよりも焦点の幅が広いとされるレンズを選択することは大切なのかなと考えています。
そのため、焦点の位置を遠めに合わせるだけでなく、レンズもアイハンスかレンティスを使って今より焦点の幅ができるような見え方に変える手術をしたいと思います。
眼内レンズ偏位というのは水晶体の支えのチン小帯という組織が弱くなってしまい、レンズが水晶体の袋に入ったままズレてしまう状態です。そうなると、眼内レンズを水晶体嚢ごと取り出して、新たなレンズを眼の壁に固定する『強膜内固定』という手術が必要になります。
今日の患者さまはレンズはまだズレているという訳ではありませんが、支えが弱くなってレンズがグラグラ揺れてしまっていました↓