院長ブログ

鋭針によるレンズ剥離

今日は午前が外来で午後は手術でした。
今日の手術は白内障8件(アイステント併用2件)、眼内レンズ交換1件、黄斑上膜と糖尿病網膜症の硝子体手術1件、眼瞼下垂2人でした。

眼内レンズ交換は64歳の男性で今年の3月に都内の眼科で右眼の白内障の手術を受け、眼内レンズを遠方に合わせ、6月に左眼の手術を同様に受けたのですが、やや近方に合ってしまい、裸眼視力が0.3しか出ず、遠方に合うレンズに入れ換える目的で手術を行いました。白内障の手術から2ヶ月しか経っていませんでしたが、水晶体の表面の切開(CCC)が小さくレンズと触れる面積が大きかったせいか、意外と癒着が強く、通常は先の丸い針で粘弾性物質(OVD)を注入してレンズを水晶体嚢から剥がすのですが、隙間がなかったため、鋭針で物理的に剥がしてOVDを注入してレンズを剥離させて、半分に切開して取り出しました。うまくレンズの交換ができてよかったです。

硝子体手術は79歳の男性で、黄斑上膜の手術目的でご紹介いただいたのですが、糖尿病もあり、網膜症が出ていたため、今回の手術では黄斑上膜を剥がすだけでなく、網膜のレーザー治療(PRP;汎網膜光凝固)も一緒に行いました。必ずしもレーザー治療は行わなくてもよい程度の網膜症だったので、この判断は必ずしも正しくはないかもしれませんが、高齢で外来でのレーザー治療は痛みも伴い辛いのですが、手術中であれば、麻酔が効いているため、ほとんど痛みを感じることなくレーザー治療が行えます。そのため、レーザーは若干過剰だったかもしれませんが、患者さまにはプラスになると考え、術前に説明し、同意を得て、レーザー治療も行わせていただきました。網膜全体にレーザー治療を行うと、1015分くらい時間がかかりますが、外来で行うと、110分くらいで数回に分けて行う必要がありますし、結構、痛みを感じることも多いので、硝子体手術の適応があるならば、術中のレーザー治療はメリットも大きいかと思います。

今日も皆さま、手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

↑眼内レンズ交換の方の術前写真。

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