糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性などの病気で、フルオレセインやインドシアニングリーン(ICG)という造影剤を腕に注射し眼の中の写真を撮ることで網膜の血流や異常な血管などを見る『眼底造影検査』という検査(フルオレセインを使う検査はFAG、ICGを使う検査はIAといいます)で、病態や治療方針の判断のためにとても有用な検査があります。
今日も網膜静脈閉塞症の50代女性の方でこのFAGを行ったのですが、造影剤を注入した後から、手足の痒みと気分不快を生じ、検査後、一時、血圧も低下し、おそらく、造影剤によるアレルギー反応でアナフィラキシーショックと思われました。点滴を追加し、血圧は維持できていたので、即効性のステロイドを使いましたが、蕁麻疹と体の震えが続いていたので、このままここで経過を見るのは心配だったので、ご本人の希望もあり、救急車を要請し大学病院へ搬送いただきました。
FAGでの軽いアレルギー反応で気分不快はよくありますが、これほど重症なアレルギー反応は初めてでした。こういうこともあるので、急変時の対応はもう一度、確認しなければなりませんが、クリニックレベルでの対応も限界があるので、救急車を呼ぶ判断も間違えないようにしなければと思いました。
診療中の出来事だったため、待合室にいた患者さまには驚かせてしまったかもしれません、申し訳ありませんでした。また、緊急対応で診察が遅れ、申し訳ありませんでしたが、ご協力、ご理解、どうもありがとうございました。
今後も安全には十分気をつけながら診療して参りたいと思います。
↑FAGはこのように造影剤を使って網膜の血管などをみる検査です。