“ブラインドボウリング”というスポーツをご存知でしょうか?
“ブラインドサッカー“や“ブラインドマラソン”といった言葉は聞いたことはあるかと思いますが、ブラインドボウリングも視覚障害者スポーツの一つです。
最近、このブラインドボウリングに眼科医の立場から関わるようになり、10月1、2日に田町にある東京ポートボウルで開催された『第19回全日本視覚障害者ボウリング選手権大会』の見学に行ってきました。
視力や視野の障害の程度で重い順にB1、B2、B3の3つのクラスがあり、B3は通常のレーンで投げますが、B1−2は“ガイドレール“という手すりを使って助走をして投げます(B2はガイドレールを使わない選手もいます)。
B1の選手はほとんど見えないのですが、『見えないのにどうやってピンを狙うの?』かというと、審判が残ったピンの位置を教えてくれるそうです。ちなみに、上手な選手だとボールが当たってピンの倒れる音でどこにピンが残っているかだいたい分かるそうです。
B1は視力0.0025未満、B2は視力0.0025〜0.032または視野直径10度未満、B3は視力0.032〜0.1または視野直径40度未満で、どのクラスでもかなり見えにくいはずですが、ストライクも取りますし、残ピン1のスペアも取るし、見えている人以上のパフォーマンスにとても驚きました。
ちなみに、個人戦のハイスコアはB1で153、B2で200、B3で211とかなりレベルが高いと思います。
僕が観戦に行った10月2日はインクルーシブ戦といって、視覚障害の選手2〜3人に健常者1名が加わり、1フレームずつ交代で投げていくチーム戦でした。健常者はナショナルチームの選手が参加していて、とてもレベルも高く、でも、意外と視覚障害の選手が活躍して、勝敗が決まるような試合が多く、観ていておもしろかったですし、障害者と健常者が協力し合ってスポーツをすることは、意義深いというか、社会の在り方を示しているような気もしました。
ゲームが終わって、視覚障害者の選手の皆さんがミーティングをしますと集まっていたのですが、実は本当はミーティングではなく、健常者の選手の一人がプロテストに合格したことをお祝いするサプライズの場面も見させていただきました。
このプロになったのが徳久選手という青年ですが、高校生の頃から視覚障害者チームの合宿などに参加して、選手をサポートしてくれていたそうです。
健常者の選手が障害者のチームに協力してくれていたなんて知らなかったので、驚きましたし、感動してしまいました。
眼科医として視覚障害者の選手も応援したいと思っていますが、徳久選手も応援したいなと思いました。
視覚障害スポーツの選手からは『見えないけれどできる』『見えなくともできる』ことってたくさんあると教えられます。僕らも『〜だからできない』ではなく、自分の能力で“できる”ことを精一杯することが大切だと改めて思いました。
↑当院に検査に来て下さった選手と一緒に。お疲れ様でしたm(_ _)m