今日は一日外来でした。
手術の申し込みは、白内障7、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(2歳女の子)、眼内レンズ偏位の硝子体手術(強膜内固定)1人でした。
眼内レンズは眼の中で“水晶体嚢”という水晶体の周りの透明な袋の中に入れてきますが、この水晶体嚢は“チン小帯”という細い線維で眼の壁に固定されています。
よく白内障手術の患者さまから『レンズがズレてしまうことはないのですか?』と質問されることがありますが、その答えは『ズレることもあります』です(ここでいう、ズレは度数のことではなく、位置が悪くなってしまう物理的なズレのことです)。もちろん、皆んながみんなレンズがズレるということはなく、ほとんどの方は大丈夫です。しかし、ある一定数の患者さまで眼内レンズがズレる“眼内レンズ偏位”という状態が起きてしまいます。その原因は、先ほど触れたチン小帯が弱いことがあるからです。元々、先天的に、もしくは体質的に弱い人もいますし、外的な要因、例えば、眼のケガやアトピーで眼を掻いてしまう人などでもチン小帯が弱くなりやすい傾向があります。
眼内レンズ偏位が起こると、レンズの位置が中心から外れたり、ゆらゆら動いたり、前後方向に傾くこともあり、見え方がおかしくなります。見えるときもあるけれど、見えにくい時もあると感じたり、揺れるような見え方をしたり、光がおかしくみえることもあります。
この患者さまは来週、手術の予定を入れさせていただきました。
ちなみに、白内障の術後に何か違和感を感じると『レンズがズレてしまったかも』と心配される方も意外と多いような気がしますが、通常は痛みや充血は出ませんし、術直後に単純にレンズがズレるということはまずないのであまり心配しないで過ごしていただければと思います。
↑ズレた眼内レンズ