今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が3人(2歳女の子、30歳女性、71歳女性)でした。手術の申し込みは、白内障7人、眼瞼下垂2人、霰粒腫3人(1歳女の子、4歳女の子、13歳男の子)、眼瞼腫瘍切除(検査)1人でした。
霰粒腫の71歳の女性は以前、他院で霰粒腫にステロイド(ケナコルト)の注射を行い、その後、薬の粒が表面に残ってしまい、その粒を取って欲しいといらっしゃり、昨年の7月に一度、切除しました。その時、ケナコルトの白い粒子が皮膚の表面に残っていましたが、まぶたの中には霰粒腫の組織が残っていたので可能な限り取り除きました。”可能な限り“というのは、霰粒腫がまぶたの中に散り散りに存在してしまっていたので、なかなかきれいに全て取り除くというのが困難な状況でした。そして、今回もまた霰粒腫が出てきてしまったので、再度の切開を行わせていただきました。
『霰粒腫にステロイド注射』という治療を行なっている先生もいらっしゃるようですが、ステロイドの薬としての働きとして霰粒腫の組織が消失することはないと思っていますし、もしよくなるとしたら、単に薬を注入することで、霰粒腫の塊が皮膚の内部で破裂を起こすことで、結果的にしこりとしては感じなくなるのではと思います。うまくいけば、よくなったと感じる治療でもあるのかもしれませんが、うまくいかずにひどくなってしまったり、今回の患者さまのように薬が皮膚に残ってしまい、更に霰粒腫を切開しようとすると、きれいに取り除くことがすごく大変になってしまうこともあり、個人的にはよい治療ではないと思っているので、全くしておりません。
霰粒腫に対してステロイド注射の治療を希望の方もいらっしゃるかもしれませんが、よく考えて治療を受けるとよいのかと思います。
↑下まぶたに残ったケナコルトの跡