今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が2人(3歳男の子、6歳女の子)でした。
手術の申し込みは、白内障6人、霰粒腫3人(3歳女の子、6歳女の子、9歳女の子)、硝子体混濁の硝子体手術1人、眼内レンズ交換1人でした。
当院のHPには”お問合せフォーム“があり、そこから質問や相談を受けることがしばしばあります。今日は東海地方にお住まいの50歳の男性(Kさん)から『白内障の手術を受ける予定でレンティスコンフォート近めに合わせたいと主治医に相談したところ「意味がない」と言われたけれど、本当にそうですか?』という相談のメールをいただきました。
他の方にも参考になると思いますので、以下、その返事を転記します↓
レンティスコンフォートは1.5Dの加入度数を持つレンズです。
“加入”というのは焦点の位置を変えるための度数です。
つまり、レンティスは遠方部分と1.5D分度数の変わったレンズからできています。
遠方部分をしっかり遠方に合わせると、1.5Dの加入により近方は約60cmの位置にもピントができます。
遠方部分を2mに合わせると、近方は50cm
遠方部分を1mに合わせると、近方は40cm
遠方部分を50cmに合わせると、近方は30cm
といった具合に理論上(計算上)、ピントの位置、見える幅が変わってきます。
このように、遠方部分を手元に近づければ近づくほど、レンティスの作る焦点の幅は、
距離としては短くなります。
単純な単焦点レンズでも全く1点しか見えないというものでもないので、
レンティスでも単純な単焦点レンズでも、見える範囲に関しては極端な差はないと思います。
しかし、単純な単焦点レンズでは見たいよりが50cm(パソコンの距離など)と
30cm(書類作業や読書の距離など)では、どちらが見たいかを選択して、
度数を選びますが、レンティスであれば、その範囲はカバーできてしまうので、
近方でも見たい距離が広い場合はレンティスが選択肢になると考えています。
(単焦点でも人によっては見えてしまう人もいますが、、、)
あとは、遠方部分1mくらいに合わせても手元はある程度、見えてくれるので、
近視が強い人で、遠くはそれほど見えなくてよいけれど、室内や近所くらいの外出を
裸眼でしたという人には、中〜近で見えるようにしてあげると喜ばれることが多いです。
Kさんの考える近め(近方)が何センチか分かりませんが、医師が考える近方の距離は、
通常、30cm程度を指すことが多く、その辺りを狙ってレンティスを使うのであれば、
焦点の幅があまり広くなるものではなく、レンティスにも多焦点に見られる副症状が
出ることもありますから、そのリスクを負ってまで使う意味(メリット)は確かにあまり無いと思います。
通常の単焦点(緑の線)とレンティス(青い線)の見え方のイメージです↓
青い線のレンティスの見える範囲の幅をどこに使うかがポイントで、
近め“も”見えるように1m〜30cm程度を目標にするならば、Kさんのように、
若い人にはよい使い方だと思います。
単に『近めに合わせたい』ではなく、具体的に、家の中の何m先のテレビを見たいとか、
パソコン作業を楽にしたいとか、楽器をやってるとか、スマホは裸眼で見たいとか、
具体的な希望を担当の先生に伝えて、レンズ選択をするとよいと思います。
↑患者さまからクリスマスプレゼントをいただきました!どうもありがとうございますm(_ _)m