今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が1人(6歳男の子)でした。
手術の申し込みは、白内障5人、眼瞼下垂1人、黄斑上膜の硝子体手術1人でした。
白内障手術の申し込みになった方の一人は、昨年の終わりに左眼の糖尿病網膜症の硝子体出血で硝子体手術を受けてくださった80代の男性ですが、右眼も結構な網膜症があり、レーザー治療(汎網膜光凝固術)が必要な状況で、今年に入ってレーザー治療を開始しました。しかし、白内障が強いため、レーザーのパワーを上げても、中々、レーザーが網膜まで達してくれず、また、白内障が弱いところを通ったレーザーは強すぎて痛みが強く出てしまい、うまく治療が進まないため、レーザー治療をスムーズに行うために白内障手術を予定することにさせていただきました。白内障の手術で濁った水晶体を取り除き、きれいな眼内レンズにしてあげると、レーザー治療がしやすくなり、必要以上にパワーを上げなくて済み、痛みも出にくくなり、よりレーザー治療がしやすくできるかと思います。
ただ、糖尿病の数値が悪く、網膜症の活動性が強い時期に白内障手術を行うと、その手術侵襲による炎症で網膜症が悪化する場合もあり、注意も必要です。この患者さまはHbA1cの値も7%くらいで血糖値もある程度、コントロールできており、白内障手術による網膜症悪化のリスクはそれほどではないかと思いますが、手術の時にはステロイドの注射を行い、炎症をなるべく抑えられるようにしたいと思います。ちなみに、ステロイド注射は血糖を上昇させるデメリットもありますが、網膜症が悪化してしまうと、手がつけられなくなってしまうこともあるので、手術の時には局所的な炎症を抑える効果を優先した方がトータルでメリットが大きいかと思いました。あと、もちろん、なるべく侵襲の少ない手術を行うことが大前提なので、眼に優しい手術をしたいと思います。