院長ブログ

CSC

今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が1人(3歳女の子)で、手術の申し込みは、白内障と眼瞼下垂が1人ずつでした。

23年前から左眼の歪みがある』と初診でいらした30代後半の男性は、網膜の中心部の黄斑の下に水が溜まっている所見があり、中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)という病気が疑われました。

この病気は網膜の一番内側の網膜色素上皮という層になんらかの障害が現れ、網膜の下の脈絡膜という部分から水が滲み出てきて、黄斑に浮腫みを起こし、歪みや視力低下という症状を引き起こす病気です。

3050代の男性に起こりやすく、疲れやストレスが発症の契機になるとされています。通常は内服薬である程度、自然軽快することが多いのですが、一旦よくなってもまた再発したり、場合によってはなかなか改善が得られないこともあります。そのような時は積極的な治療を考える必要があり、治療の基本はレーザーで水が漏れる箇所を塞いであげることです。ただ、この治療の難しいところは、通常のレーザーを網膜に照射すると、その部分が暗点となり黒い見えにくい部分ができてしまうので、あまり中心部にはレーザー治療がしにくいことです。その場合、光線力学療法(PDT)という特殊なレーザー治療が有効となることがあります。このPDTは点滴で薬剤を注入し、この薬剤に反応するようなレーザーを当てることで、網膜を損傷することなく、目的の場所をレーザーで治療できる方法です。

通常のレーザーで治療できるか、PDTの方がよいかを見極めるのに、漏れが出る場所を探すために蛍光眼底造影検査という検査を予定させていただきました。

CSCは働き盛りのお忙しい男性に出やすい病気で、極端に視力が下がることは少ないですが、長引くと、見えにくさの後遺症を残してしまうこともあるので、きちんと検査や治療を行うことが大切だと思います。

 

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