今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障5人、眼瞼下垂2人、霰粒腫1人(15歳女性)でした。
今日は網膜に穴があいた“網膜裂孔”でレーザー治療をした患者さまが2名いました。
一人は60歳の女性で『2日前から右眼に糸くずのようなものが見える』と、もう一人は57歳の女性で『昨年11月から飛蚊症がある』という症状でのご来院でした。
網膜に穴があく時は硝子体により牽引(引っ張る力)が加わるので、それが刺激となり、光を見ている訳ではないのに、光がチカチカ見える“光視症”が前駆症状となることがあります。そして、網膜に穴があくと、網膜の裏側にある脈絡膜の色素や一緒に血管が切れて起こる出血の影響で糸くずや黒い点、墨汁が流れるような見え方をする“飛蚊症”が現れるようになります。網膜に穴があいた状態を放置すると、その穴から網膜の裏側に眼の中の水が入り込み、“網膜剥離”の状態に進展してしまいます。こうなると、徐々に視野が暗くなり、中心部(黄斑部)の網膜が剥がれてしまうと、急激に見えにくくなってしまい、大掛かりな手術が必要になってしまいますし、網膜が剥がれた範囲や剥がれている時間によっては、視力障害を残してしまいます。
こうならないために重要なのは、網膜に穴があいたすぐの飛蚊症の症状で『おかしい』と思って来院することだと思います。網膜に穴があいた“網膜裂孔”の状態なら、治療としてはレーザーで穴のあいた周りの網膜を凝固して脈絡膜と癒着を作り、網膜剥離が起こらないようにすることも十分可能ですし、多少、網膜が剥がれた状態でもレーザー治療で網膜剥離の進行を抑えることができることもあります。
ただ、この治療の目的はあくまでも網膜剥離を抑えることなので、見え方をよくするとか、飛蚊症を消すような効果がある訳ではありません。レーザー後の具合を患者さまに聞いた時に『レーザーしてもらったのに、飛蚊症が取れないんです』という訴えをたまに聞くことがありますが、レーザーは網膜をくっつけることが目的なので、飛蚊症はどうしても続いてしまうものです。もちろん、濁りの原因によっては、少しずつ吸収され、数ヶ月かけてゆっくり濁りが取れていくこともありますし、どうしてもの場合は手術で取る方法もありますので、あまり心配せずにお過ごしいただければと思います。
今日は夕方に若い女性の霰粒腫の切開の予定がありましたが、やむにやむ得ぬ事情があったようで、キャンセルになりました、、、今回は仕方ない事情のようですが、キャンセル待ちをされている方もいらっしゃいますので、早めにご連絡をくださるようご協力、よろしくお願いいたしますm(_ _)m