今日は一日外来でした。
手術の申し込みは、白内障2人、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(27歳女性)でした。
霰粒腫に対して、ケナコルトというステロイドの薬を注射する治療があります。今日、いらっしゃった女性は、『左上まぶたに霰粒腫ができ、2度、ステロイドの注射をしてけれど、する度に、しこりが大きくなった』そうです。
僕はこのステロイド注射の治療は全くしていないのですが、その理由は、ステロイドの“薬の効果”で霰粒腫が無くなることはないと思っているからです。でも、確かに『ステロイドの注射をしてもらってよくなりました』という患者さまもいらっしゃるので、ステロイドを注射して、霰粒腫がよくなることもあるとは思っています。では、なぜよくなるかというと、霰粒腫はある程度、塊りとして存在していますが、そこに注射して薬剤(液体)が注入されれば、塊りは散り散りになり、霰粒腫が塊としては“なくなった”と感じるのだと思っています。そう思う理由としては、ステロイドの注射をしたけれど、よくならないとか、今回の患者さまのように、かえって悪くなったという方の切開をすると、まさに霰粒腫が散り散りに拡がってしまっている状態を目にするからです。しかも、こういう状況では完全に霰粒腫を取り除くことが難しく、手術がとても厄介です。霰粒腫へのステロイド注射は、薬の作用で霰粒腫をなくすのではなく、霰粒腫のしこりの中に薬液を注入することで、霰粒腫を“破壊する”治療で、うまくいけば霰粒腫が分からなくなるけれど、悪化してしまう可能性もある一か八かのある種、賭けのような治療だと個人的には思っています。もちろん、切開に抵抗のある方もいらっしゃり、注射で良くなるなら、その方が魅力的であるという思いは、医師にも患者さまにもあると思いますが、よく考えて治療は選択して欲しいなと思います。
まぶたを切開する治療は勇気の要ることだとは思いますが、若い女性だからとかは関係なく、年齢も性別も問わず、誰でもなるべくきれいに治るように、僕も治療を頑張りたいと思います。