今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障1人と霰粒腫1人(2歳男の子)でした。
今日の手術は、白内障11件、眼瞼下垂1人、硝子体混濁の硝子体手術1件、霰粒腫2人(2歳男の子2名)でした。
白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を入れます。水晶体は光を曲げる作用(屈折力)があり、その値は約20D(ディオプター:屈折力の単位)です。眼内レンズにも度数がありますが、20Dの屈折力のある水晶体を取り除くからといって、必ずしも眼内レンズの度数(屈折力)も20Dを入れればよいというものでもありません。 それは、眼内レンズの度数を調整(選択)することで、見たいところにピントを作ることができるので、その希望のピントの位置によっては、眼内レンズの屈折力を20Dより強くすることも、弱くすることもあります。もちろん、ちょうどよい眼の場合は、眼内レンズの度数が20Dになることもあります。
標準的な人の眼の長さ(前後径)は23.5mmとされていますが、近視の人は眼軸が長く、網膜の表面の手前で焦点を結んでしまうので、遠方が見えず近くにピントが合うようになっています。例えば、このような近視の人が遠くを見えるようにするには、眼に入る光を緩やかに曲げることでぴったり網膜の表面に像が結ばれるようになると、遠くを裸眼で見えるようにすることができます。なので、このような場合では、眼内レンズの度数は10Dとか5Dとか20 Dよりもずっと少ない値になることが多いです。
今日の手術の患者さまでは、強度の近視の方で眼軸が29mmほどあり、度数はゼロの眼内レンズになりました。ゼロでは光が直進してしまうのでは?と思われるかもしれませんが、眼内レンズを通る光は全く曲げる力は働きませんが、その前に角膜があり、ここでも光は屈折させられるので、角膜の屈折の作用だけでちょうどよい光の屈折具合になりそうだったので、眼内レンズの度数はゼロになりました。また、度数ゼロなら、そもそも眼内レンズを入れなくともよいのでは?という疑問も出るかもしれません。確かに術後の見え方としては、度数がゼロであれば、レンズを入れても入れなくとも変わりません。ただ、レンズが入っていないと、水晶体の残存細胞が増殖しやすく後発白内障が出やすくなってしまうので、度数がゼロでも眼内レンズは入れた方がよいかなと思っています。もちろん、後発白内障はレーザー治療で簡単に取ることができるので、レンズは入れずに後発白内障が出てきたらレーザー治療をしてあげてもよいかと思います。
今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m