院長ブログ

多焦点で視力が出なくとも

今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が2人(1歳女の子、30歳女性)でした。

手術の申し込みは、白内障2人、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(4歳女の子)でした。

先週の水曜日にレンズの入れ換えをした男性の術後5日目の診察がありました。

この方はSynergyという多焦点レンズが入っており、左眼は黄斑が若干悪く、視力は矯正しても0.7程度しか出ず、見えにくさと眼の痛みが強く、レンズの入れ換えを行いました。最初に白内障の手術をしてくださった先生は、レンズ交換も視野に経過を見ていたのですが、次に相談に行った病院では『後発白内障が原因だろう』と簡単にYAGレーザー後嚢切開がされてしまいました。そして、視力は改善せず、後嚢切開の後だからレンズの入れ換えもできないと言われ、当院に相談にいらっしゃいました。

前の病院では最初、レンズの問題ではないと言われ、レンズの交換もできないと言われていたので、患者さまからは『レンズを入れ換えたらよくなるのか?本当に入れ換えできるのか?』と何度も聞かれましたが、正直、これはやってみないと本当のところは分かりませんでした。ただ、見え方をよくする可能性があるのはレンズを単焦点に換えることが唯一の方法と思われましたし、レンズを入れ換えることも十分可能だとは思ったので、そう伝え、手術に至りました。

術翌日でも矯正視力は1.0まで出ていましたが、今日は更に状態が落ち着き、裸眼視力1.0、矯正視力1.2まで出るようになり、眼の痛みも消えたそうです。

多くの人は多焦点レンズで問題なく十分見えますが、眼の機能が多少でも落ちている人は多焦点レンズを入れると、十分な視力が得られず、場合によっては術前よりも視力が下がってしまうこともあります。見えにくさがあると、眼の痛みを感じる方もいらっしゃると感じています。このような場合、今回の患者さまのように、多焦点レンズで見えにくい人が単焦点レンズに換えることで、不十分だった視力が改善し、痛みも消えるということをしばしば経験します。確実によくなる保証がないので、判断が難しいですが(実際にレンズを入れ換える手技よりも入れ換えるかの判断の方が難しいと思っています)、今日もレンズ交換はやっぱり必要な治療だと感じました。よくなってくれて本当によかったです。

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