院長ブログ

多焦点レンズが傾くと

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障3人と眼内レンズ交換1人でした。

今日、眼内レンズの入れ換えの手術を予定させていただいたのは86歳の男性の方で、約3か月前に他院で両眼の多焦点レンズの白内障の手術を受け、『網戸越しに見ているようで手術の前よりも見えにくい』と受診されました。白内障の手術では水晶体の表面の水晶体嚢の前面をを丸く切り抜くのですが(この切り抜く操作をCCCといいます)、この患者さまの右眼ではCCCが大きく、一部、外側に流れて切れ目になっており、レンズの支え(ハプティクス)が片方は水晶体嚢の中、もう片方は水晶体嚢(前嚢)の外に出て、レンズが傾いて入っているようでした。多焦点のレンズはきちんと眼の真ん中に正しく入っていることが非常に重要で、このような傾きがあると、眼の中心に像が集まらず、尚且つ、レンズの多焦点性により余計見えにくい状況となってしまいます。うまく多焦点レンズが使えるのであれば、今入っているレンズの位置を調整する手術をしてもよいのですが、割ときれいに入っている左眼も視力の出方はよくないので、多焦点レンズそのものが合わない可能性も高く、今のレンズを取り出し、単焦点レンズを水晶体嚢の外側(前面)に固定する嚢外固定できちんと入れる手術を予定させていただきました。

だいぶ高齢の患者さまですが、少しでも見え方の不自由さがなくなってくれるといいなと思います。

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