院長ブログ

黄斑上膜のある白内障

今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が1人(19歳女性)でした。手術の申し込みは、白内障4人、霰粒腫1人(43歳女性)、硝子体手術3人(黄斑上膜2人、硝子体混濁1人)でした。

今日、白内障の術後の見えにくさで来院された84歳の男性は、昨年の11月に単焦点レンズの白内障の手術を受け、見えにくさがあるため、『レンティスに入れ換えたい』と希望されての来院でした。視力は右眼1.2と良好なものの、左眼は0.5と不良でした。焦点の幅の狭さによる見えにくさであれば、確かに、レンズをレンティスに入れ換えることは有効な方法である場合もあります。しかし、この患者さまさは矯正視力が0.5までしか出ず、それは眼底の黄斑上膜による黄斑の異常が原因と思われました。このように他の病気があると、多焦点レンズは使わない方がよい場合もあり、多焦点レンズの性格のあるレンティスも向かない場合があります。なので、この患者さまの治療方針としては、黄斑上膜に対する硝子体手術を基本方針としました。レンズはレンティスに換える必要はないと思いましたが、角膜乱視が強いにもかかわらず、乱視を矯正するトーリックレンズが使われていなかったので、トーリックレンズへのレンズ交換もできれば一緒にする方向とさせていただきました。

ちなみに、この患者さまは白内障の手術をしてくださった先生から、事前に黄斑上膜の存在は伝えられており、『黄斑上膜の手術は大手術だからしません。白内障だけしますか?』と聞かれ、同意の上、白内障手術を受けたそうです。白内障と黄斑上膜がある場合、明らかに黄斑上膜の影響が強いと思われれば、白内障と黄斑上膜を一緒に手術することが多いですが、黄斑上膜の影響がはっきりしない場合、白内障手術だけ行うことは決して悪いことではないと思います。ただ、白内障の手術だけして、視力の改善が乏しい時は、黄斑上膜の影響が思った以上にあったと考え、追加で黄斑上膜に対する硝子体手術を検討する必要があると思います。硝子体手術は確かに白内障手術に比べれば、大手術かもしれませんし、合併症もありますので、安易にすべきではない手術ですが、基本的には十分安全に行える手術であり、病気の状態によっては当然行ってもよい手術だと思っています。

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