今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障2人、眼瞼下垂1人でした。
今日の手術は、白内障10件、眼瞼下垂2人、緑内障手術(トラベクレクトミー)1件でした。
今日は久しぶりに、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)という緑内障の手術がありました。眼の手術というと、見え方をよくするために行うことが多いですが、基本的に緑内障は手術をしても見え方はよくなりません。なんのために手術を行うかというと、眼圧を下げるためであくまで、緑内障の進行を食い止めることが目的になります。緑内障は点眼で治療を行う方が多く、『眼圧を下げる手術があるならば、点眼なんて使わず、手術をしてしまえばいいのでは?』とお思いになるかもしれませんが、緑内障の手術はできればしたくない手術です。なぜかというと、眼の中の水を結膜の下に流すバイパスを作ることで眼圧を下がりやすくするのが、トラベクレクトミーという緑内障の手術ですが、硬い強膜という眼の壁に切れ目を入れ、強膜を薄く剥がし、眼の中との交通を作り、剥がした強膜を蓋(フラップ)にして隙間から結膜の下に水が流れるようになり、眼の外側と内側が薄い結膜1枚で隔てられる状態になります。そのため、トラベクレクトミーの欠点として、細菌が眼の中に入りやすくなってしまい、合併症として感染症(眼内炎)が1%に起こるとされています。1%というと100人に1人で少ないと感じるかもしれませんが、白内障手術の2000〜3000人に1人という頻度に比べると、ずっと高確率ですし、眼内炎が起こると重度の視力障害を来してしまい、最悪失明する可能性もあります。また、緑内障で視神経が弱っている状態で手術をすることになりますので、手術の侵襲により、残った視野が更に減ってしまう可能性もあります。更に、術後は通常は、レーザーでフラップを縫った糸をレーザーで切りながら、眼圧を調整していきますが、眼圧が下がり過ぎてしまうと、今度は縫合を追加しなければならないこともあり、術後管理がやや厄介です。
このように緑内障の手術は得られる効果も大きい一方、マイナス面もそれなりにありますので、手術で眼圧を下げなければ、どんどん緑内障が進んでしまうようなどうしてもの場合に行うようになります。視野の変化の進行具合、眼圧、年齢などを考慮して慎重に適応を決めることが大切だと思います。
今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m