院長ブログ

色覚“異常”?

今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が2人(8歳女の子、50歳女性)でした。

手術の申し込みは、白内障2人、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(8歳女の子)、アドオンレンズ1人でした。

今日の外来では、5歳の男の子が家族から『色の感じ方がおかしいみたい』ということで受診されました。検査をすると、2型色覚という状態で、これは緑に敏感な視細胞の機能に異常があることで、多くの正常とされる人たちと異なる色の見え方をする状態です。先天的な(生まれつきの)色覚異常は、日本人男性のおおよそ20人に1人、約5%にみられるとされていますが(女性は500人に1人とされています)、ここでいう正常とか異常というのは、よいとか悪いとか、優れているとか、劣っているということでは全くなく、大多数の見え方が正常とされているだけのことです。例えば、皮膚の色でいうと、黄色人種と白人と黒人で、これはメラニンの多さの違いですが、正常も異常もないのと一緒だと思っています。なので、色覚異常という考え方はおかしいという意見や治療法がないということもあり、小学校での色覚検査が廃止された時期もありましたが、実際問題として、大多数の人と色の見え方が違うと、生活上、トラブルがあったり、将来的に選択に制限がある職業もあるので、色の見え方がどうか、知っておくことは大切かと思います。色覚異常のある子どもに、色を間違えないように教えても、気をつけて識別できるものでもないので、色の見え方が大多数の人と違うと認識しておくことと、区別のつきにくい色を知っておき、より区別のしやすい色を組み合わせたり、文字や印で認識できるようにするなど、間違えにくくする工夫をして、より安全で快適な生活を送れるようにすることが大切です。

個人的には色覚異常は異常ではないと思っていますし、正常も便宜上、使われている言葉だと思っていますが、色覚異常と診断された方は、あまり落ち込むこともないので、お近くの眼科の先生からアドバイスを受けながら、ご家族や学校の先生方とよく相談して過ごしていただければと思います。

TOPへ