今日は午前が外来で、午後はまぶたの手術で眼瞼下垂が2人と睫毛内反症が2人でした。
昨日はAlconから新しく発売された多焦点レンズ “Vivity”を使った白内障の手術がありました。VivityはPanOptixやSynergyなどの回折型の多焦点レンズとは異なり、“波面制御テクノロジー”(という分かりにくい表現ですが、、、)を使った多焦点レンズで、中央部分を直径2.2mmのリング状に1μm隆起した形状をしたレンズで、この構造により焦点の幅を拡げることができ、焦点深度拡張型(EDOFタイプ)の多焦点レンズとなります。なので、基本的な見え方としては遠方からやや離れた近方(手元約50cm)くらいまでが見えるようなレンズ設計となっています。
このレンズのメリットとしては、回折構造がないので、光のロスがなく、コントラストが良好なこととハローグレアなどの異常光視症が出にくいということです。なので、今まで多焦点レンズを使いにくかった、他の眼疾患のある方や、夜間の運転が多い人など、ハローグレアの影響が懸念される方にも使いやすい多焦点レンズであると考えられます。ただ、遠方にしっかり合わせると、近方は若干弱いので、手元の細かいものを見る時は老眼鏡を使うことになる可能性は承知しておく必要があります。
昨日、このVivityを使ったのは40代前半の男性で、若かったのでコントラストが下がった見え方はしたくないということと、ハローグレアも避けたい、でも、なるべく広く見えたらありがたいということで、Vivityを選択しました。
本日の視力検査の結果は、遠方1.0、中間70cm 1.0、50cm 0.7、近方30cm 0.4で、手元は見えにくいとのことでしたが、遠方から中間、少し離れた近方くらいまではきれいに見えているようでした。この後、反対の眼の手術もあるので、このままVivityを同じように使うか、Vivityで少し遠方を落として近方の見え方を優先するか、PanOpixなどの3焦点レンズにするか、経過を見て判断しましょうとお話をしました。
Vivityも完璧な多焦点レンズではないと思いますが、他の回折型の多焦点レンズの欠点を改善したレンズではあり、コントラストを下げずに、ハローグレアを感じずに、単焦点レンズより少しでも広く見たいと思う方には向いているレンズで、多焦点レンズの選択の幅が広がったことはとてもよいことだと思います。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m