今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障5人、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(5歳男の子)、睫毛内反症(12歳男の子)1人でした。
当院で眼内レンズの入れ換えをした70代の女性の患者さまが、約20年前、ご自分のお母さまの白内障手術の時に読んだ白内障の記事を持ってきてくださいました。現筑波大学眼科教授の大鹿先生が当時東大にいた時に書かれた文章で、『手術前には、ふだんどの辺りを裸眼で見たいのか、ということを医師に伝え、相談しながら、手術後の視力を決める必要があります』と記載がありました。今でこそ、当たり前になっていますが、“術後の見え方を相談して決める”ということは、当時では珍しい考え方だったのではと思います。僕が眼科医になった15年ほど前でも、白内障の術前説明の時に、『手術した後はこの距離が裸眼で見たい』とか『術後にどこが見たいですか?』というようなやり取りはあまりなかったように記憶しています。今、診ている患者さまでも、何十年も前に白内障の手術を受け、眼内レンズの度数が強めの近視になっていて、『もっと遠くが見えるとよかったけれど、手術の時に、どうしたいなんて話は全然なかった』とおっしゃる方も結構、いらっしゃると感じています。そういう声を聞きながら、“術後に見たい見え方をよく相談して決める”ことが、現在の白内障の手術で一番、大切なことだと思っていますが、20年も前にそう主張される記事を目にして、自分の大切にしていることが間違いでないことだと思えたのと、決して“現在の”ではなく、きっと、これからも“ずっと大切なこと”なのかなと思いました。
貴重な記事を読ませてくださり、どうもありがとうございましたm(_ _)m