今日は午前のみの外来でした。
手術の申し込みは、眼瞼下垂1人と霰粒腫3人(2歳男の子、5歳女の子、49歳女性)でした。
近視を手術で治す治療には、有水晶体眼内レンズ(いわゆるICL)とLASIK(レーシック)がありますが、当院で行っているのはICL手術なので、ICL手術ご希望や相談目的の受診があります。
今日は、そのICL手術の相談で38歳の女性の方がいらっしゃいましたが、この方の近視の値は両眼とも−3Dでした。このくらいの近視でも遠方を見るには眼鏡やコンタクトレンズが必要で、裸眼の見え方に不便さはあるかと思うので、『近視を治したい』と考えることも普通のことだと思います。もちろん、ICLでもLASIKでも近視を治し、遠くも見えるようにすることは可能で、希望があれば治療を受けることも悪くないと思います。
ただ、-3Dくらいの近視は、今は不便さの方が強く感じても、実はそんなに悪い目ではなく、むしろ、よい面も持ち合わせています。-3Dの近視の眼のピントの位置は約30cmで、何かを読んだり書いたりするのに丁度よい距離とされています。30代だとまだ老眼はあまり出ていないので、感じにくいかもしれませんが、50歳くらいになってくると、遠くに合っただけの眼鏡を掛けたままでは、近くが見えにくくなってしまうのですが、眼鏡を外せば、近くを見ることは全く不自由のないとても便利な眼です。同年代の近視のない人は、その頃になると『近くが見えにくくなった』と口にするようになりますが、-3Dくらいの近視の人は裸眼で近くの見え方には困らないので、ようやく自分の眼のありがたみを感じるのではと思います。
30代後半で近視矯正の手術を受けると、老眼が出てくるまで10年くらいは遠方も近方も見えますが、50歳くらいからは少しずつ近方の見えにくさが出てしまい、老眼鏡を使うようになってきます。一方、-3Dくらいの近視をそのまま残しておけば、老眼が出てきても、裸眼であれば近方が見えにくい不便さを感じなくて済みます。
なので、-3Dくらいの“ちょうどよい”近視は矯正手術でなくしてしまうメリットとデメリットがあると思いますので、よく考えて手術を受けるかどうか決めるとよいと思います。
ちなみに、僕も元々は-3Dくらいの近視でしたが、30歳の時にLASIKを受けて近視を治しました。その時は、眼科医でもなかったのもあり(眼科でなくとも老眼のことくらい知っているべきですが、、、)、老眼のことは全く考えずに手術を受けましたが、それから15年、今のところ遠くも近くも不便なく見え、手術してよかったなと思っています。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m