院長ブログ

レンズの中心固定をよくすると 

 今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障3人でした。

昨日の手術では、50代前半の女性の眼内レンズのズレを直す手術がありました。この方は今年の7月に他院で多焦点レンズ(Synergy)の白内障手術を受け、術後に『近方が見えにくい。夜、光を見ると足元に向かって光の線が広がる。』という症状に困っていらっしゃいましたが、一見、大きな問題はなかったものの、レンズの中心が眼の中心からわずかなズレがあり、それが症状の原因の可能性もあるかと思われたので、レンズを中心に合うように位置を修正する手術を行いました。正直、確信があった訳でもありませんでしたし、レンズの癒着の程度によっては簡単に位置が修正できない可能性もあったので、無理はしないという打ち合わせの下、まず水晶体の前嚢切開が小さくレンズにかかり過ぎている部分をハサミで切開し、前嚢切開を拡大させ(この方がレンズの癒着を剥がす操作がしやすくなります)、レンズと水晶体嚢の癒着を丁寧に剥がし、レンズの位置を中心が合うように調整し手術を終えました。手術自体はうまくいったものの、これで症状がどうなるかは実際のところは分かりませんでしたが、今日の診察で、『前より見やすくなった』と言ってくださり、視力も術前の中間視力0.5、近方視力0.4から中間、近方とも0.9まで改善してくれてよかったです。

普通の単焦点レンズは中心がズレても大きな問題にならないかと思いますが、多焦点レンズはレンズが眼の中心に合うことが前提で設計されているので、ズレると不具合が生じてしまうのだと思います。そして、今回の患者さまのように、中心がズレた多焦点レンズは位置を改善し中心固定をよくしてあげると、見え方が改善してくれる可能性が十分あるのだと感じられました。白内障手術も多焦点レンズやレンティスやアイハンスなどの特殊な単焦点レンズも含め、良好な中心固定を意識することが大切がだと思いますし、もしこのようなレンズで見え方がよくない場合は、レンズの位置のズレがないかをみることも必要だと思いました。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

↑上が術後、したが術前。ちょっとわ分かりにくいですが、中心の位置が改善しています。

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