今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障2人、眼瞼下垂1人、黄斑上膜の硝子体手術1人でした。
今日の手術は、白内障16件、黄斑上膜の硝子体手術1件でした。
今日の外来では、先月、僕が白内障の手術をした患者さまから『レンズが間違えて入っているんじゃないか?』と言われました。多焦点レンズ(PanOptix)を入れ、術直後は裸眼視力で遠方1.2、中間0.8〜1.0、近方0.5〜0.6とまずまず良好で問題ないかと思っていましたが、今日の検査では遠方の裸眼視力が右0.7、左0.4で右眼は矯正しても0.8までしか出ず、『手術してからずっと見えにくかった』そうで、眼内レンズが間違っているのではないかということでした。
術前に十分な説明と綿密な打ち合わせを行い、多焦点レンズを使う方針となり、検査のデータから、患者さまの眼に合ったレンズ度数を選択し、そのレンズは間違いなく入れているので、“レンズを間違えた”ということはないのですが、結果的に度数が計算とズレることや患者さまに”合わないレンズ“だったということはありえます。
この患者さまの場合、レンズで矯正しても見えにくいということでしたので、おそらくは多焦点レンズが合わない可能性が高いのかなと思いました。単に合わない訳でなく、まだ多焦点の見え方に慣れていない可能性もあるので、しばらくして見え方が改善する場合もあり、今はどうなるか経過を見て、改善がないようならレンズを単焦点に交換するか考えるとよいと思いますとお伝えしましたが、なかなかご理解いただけなかったので、『他の病院でも診てもらったらどうでしょうか?』とセカンドオピニオンを勧めさせていただきました。僕が問題ないと見ていても、他の目から見ると、何かがみつかることもあり、それは患者さまにはプラスになることもあると思いますし、僕が言うことが素直に受け入れられないというか、伝わらないのであれば、他の医師からの言葉を聞いていただくことも必要かと考え、セカンドオピニオンを提案することがあります。しかし、この患者さまからは『もうこっちじゃ診ない。あっちに行けって、ひどい』と言われてしまいました。そういうつもりではなく、できる限りは自分で全て完結させたいと思って診療していますが、他の施設で診てもらった方が患者さまのためになると思えば、その時はそう提案させていただいておりますので、どうか悪く捉えないでいただければと思います。
白内障の術後に思ったような見え方でないと、『レンズが間違っている?』と感じるのももっともなことかもしれませんが、術前の検査と患者さまの希望から選んだレンズの種類・度数は間違えることがないように入念なチェックをした上で手術で使用しています。もちろん、人のやることですから、絶対ということはなく、もしレンズ間違えが起こってしまった場合は、その事実をお伝えし、本来入れるはずだった適切なレンズに入れ換えます。幸い、開業後はそのような間違いは起こっていませんが、開業前に勤めていた病院では、カルテに違う患者さまのレンズ計算のデータが入っており、不適切なレンズを選んで入れてしまった経験があります。その時は、術後数日してから間違いに気づき、患者さまにお伝えし、謝罪しましたが、『間違えてしまったのは仕方ない。ちゃんとしたレンズを入れてくれればいい。』と温かいお言葉をいただき、レンズの入れ換えをさせていただきました。申し訳なく、苦い経験となってしまいましたが、あの出来事と患者さまからのお言葉で二度と同じ間違いを起こさないつもりで、手術しています。なので、最終的には手術室でお名前と手術する眼を答えていただき、レンズ計算のデータをもう一度確認してから手術を始めるようにしています。手術を受ける患者さまからすると、『何を今更』と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、レンズ間違い防止のためですので、どうかご協力よろしくお願いいたします。そして、レンズの間違えなら入れ直せばよく、話は単純なのですが、最も適切と思ったレンズを入れたにもかかわらず、見え方がよくない場合は、その理由が何かをよく見極め、対処しなけれればならず、患者さまも悩み、僕たち眼科医が苦労して
しまっているということをご理解いただければと思います。
今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m