今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障4人、内反症1人、霰粒腫3人(3歳女の子、6歳女の子、21歳女性)でした。
今月の10日に右眼、17日に左眼の白内障手術を受けていただいた50代後半の男性の方の術後経過観察の診察がありましたが、この患者さまは眼内レンズをアイハンスのマイクロモノビジョンで選択されました。
元々、両眼とも-10Dを越える強度近視でしたが、車の運転もあり、ご趣味もゴルフというアクティブでまだ50代とお若かったため、レンズのピントは遠方を目指したいというご希望でした。
まず右眼はしっかり遠方合わせにし、裸眼視力は、遠方1.2、中間70cm 1.0、近方30cm 0.2と遠方から中間距離の視力を確保しました。近方もまあまあ見えるとのことでしたが、もう少し見やすいと楽かなということで、左眼は軽い近視(-0.5D)を狙い、こちらの眼の裸眼視力は、遠方0.8、中間70cm 1.0、近方30cm 0.8と、遠方もまずまず見え、その上で中間から近方を見えるようになり、両眼で遠方から手元までだいぶ便利に見えるようになったそうです。もちろん、多焦点レンズを使う方がより広い範囲を見ることができますが、この患者さまのようにアイハンスを左右で少し度数をズラすマイクロモノビジョンも保険の範囲内の手術で、より広い範囲を見えるようにするよい方法だと思います。左右で差をつける際に、『違和感が出ますか?』と聞かれることもありますが、0.5D程度であれば、良くも悪くも極端な差ではなく、同じピントを狙ってもこれくらいの左右差は出ることはありますし、違和感が出ることはほとんどないと思います。なので、左右差をつける場合は、通常、0.5程度、多くとも1.0D以下に留めるようにしています。また、単にアイハンスの-0.5D狙いは遠方も0.8〜1.0くらいの視力が得られ、近方もある程度、見えるようになることも多く、よい狙い方かなと感じています(あくまで僕の印象ですが)。
今回の患者さまは『よく見えるようになりました。ありがとうございます。』とおっしゃってくださいましたが、うまくいったのは、患者さまが希望をしっかり伝えてくださり、僕の説明をきちんと理解して適切なレンズ選択にご協力くださったおかげだと思います。白内障の手術はそういうプロセスがとても大切だと改めて思いました。こちらこそ、ありがとうございましたm(_ _)m