院長ブログ

創口閉鎖不全

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人、今日の手術は、白内障18件と創縫合1件でした。

今日の手術の最後には、先週、レンズの入れ換えをした男性の再手術でした。通常の白内障やレンズ交換の手術で作るキズ口(創口)は約2.5mmくらいで(幅2.4mmのナイフで白内障はそのまま、レンズ交換は少し拡げるようにキズを作っています)、通常、キズは自己閉鎖するので縫わずに手術を終えています。しかし、先週のレンズ交換の患者さまは、初回の白内障手術から4回目の手術となったため、なかなかキズが閉じなかったので、キズを縫って終えました。術後、視力はかなり下がり、炎症が強かったので、そのためと考えていましたが、炎症が落ち着いても、なかなか視力が改善せず、今日の診察では眼圧が低く、傷口から房水(眼の中の水)の漏れが確認でき、創口閉鎖不全の状態でした。キズを糸で縫っていると、その刺激で涙が出やすく紛らわしいのですが、房水が創口から漏れると、涙が止まらないような状態になります。房水が漏れると、空気の抜けたボールのように、眼の張りがなくなってしまい、黄斑部の形状が乱れてしまう“低眼圧黄斑症”という状態になり、なかなか見えにくい状態になっていまします。あまり長く低眼圧黄斑症が続くと、不可逆的な視力低下が残ってしまう恐れもあり、あまり放っておくのもよくないため、本日、創口の再縫合をさせていただきました。
キズを縫い直すだけだったので、10分くらいで終わるかと思っていたのですが、なかなかキズが閉じず、何度も縫い直しが必要になり、また、眼圧を上げるための水を入れる小さなキズもなかなか閉じなくなってしまい、結局、40分くらいかかってしまいました(すぐ終わるとお話しておいて、申し訳ありませんでした、、、)。最初のきれいなキズであれば、簡単に閉じるのですが、何度も切っているキズだと、おそらく断面が微妙にいびつになり、キズが治る反応も遅く、くっつきにくいのかなと思います。この方の場合、後嚢切開後の嚢外固定の複数回の入れ換えで、レンズの位置的な問題(傾き)や緑内障の悪化などいくつか対応や注意が必要になりそうな状況ではありますが、まずは創口をしっかり閉じることが、黄斑にとっても大切ですし、感染予防の観点からも優先事項になります。まだこれで完結にはならないと思いますが、一つずつ順番に対処していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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