院長ブログ

左右のバランスが揃うと

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障4人と眼瞼下垂1人でした。
今日の手術は、白内障10件、結膜弛緩切除1件、硝子体脱出眼内レンズ偏位修正1件、黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

今日の診察では、先週の金曜日にアドオンレンズ挿入の手術を受けていただいた40代半ばの女性の方の術後診察がありました。この患者さまは、元々、両眼とも-2.5Dのちょうど近くが見えやすい近視でしたが、左眼は黄斑上膜で硝子体手術を受け、術後に網膜剥離を起こしてしまい、2度目の硝子体手術、その後、白内障が進行し、遠方に合わせた単焦点眼内レンズを使った手術を受けたのですが、『揺れるような見え方。コンタクトを使っても気持ちが悪い。』という症状が出てしまい、左右のピントのバランスが悪くなったことが一番の要因かと思われたので、ピントを近くにするアドオンレンズを追加し、左右の裸眼での見え方のバランスを取る目的の手術を行いました。ただ、はっきりとした原因は分かりませんでしたし、黄斑の状態も症状に影響している可能性もあり、このアドオンレンズの手術で、よくなってくれるかどうか、よくなるとしても、どこまでよくなってくれるかは分からない面もありました。でも、結界的に『近くが見えるようになって、嫌な見え方がなくなった。大丈夫。』と言ってくださり、ひとまず、うまくいってよかったです。
よくなるかどうか分からないとは言いましたが、左右のバランスがよくなればよい方向に向かってくれる可能性は十分あり、また、治療してうまくいかなければ、元に戻すことができるのもアドオンレンズのメリットかと思います。そして、うまくいった一番の理由は患者さまが、欲張らず、希望をはっきり持ってくれたことだと思います。遠方が見えていると、それも残したい、遠方と近方両方見たいと思ってしまったり、中間くらいにしておこうかなと迷ってしまうことがあります。実際、この患者さまもピントの位置を近方にとなっても、迷いはあたっと思いますが、最終的には、“しっかり近方にして左右のバランスを揃えること”を第一に考えて決めてくださいました。
少し前に白内障の手術をされた方で、元々、遠方が見えていたのですが、老眼が強かったので、近方が見たいと、アイハンスで近方に合わせたところ、『遠方が見えにくくて不便。ハローグレアも見える。』とレンズの入れ換えを考えていらっしゃいますが、遠方を見たくて、ハローグレアもなるべく出したくないなら、遠方に合わせた単純な単焦点レンズにすべきなので、そう提案したところ、『近くが見えなくなるのはもったいない。多焦点レンズはどうか?』と希望されましたが、遠方も近方も見たいなら多焦点レンズを使えばよいですが、ハローグレアは今より増えますし、コントラストの低下で見えにくく感じる可能性もあり、結果的に『遠くも近くもよく見えないし、ハローグレアも増えた』なんてことになりかねないと心配しています。
あれもこれもと希望はあるかと思いますが、もちろん、可能な限りはそれに応えたいと思いますが、白内障のレンズについて言えば、全てを叶える眼内レンズは存在しません。そんな中で、何を優先するか、何を避けたいかを明確にし治療の方針を決めることが大切だと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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