今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障4人と霰粒腫2人(4歳男の子、20歳女性)でした。
今日の外来では、57歳の男性の方がICLの手術ご希望でいらっしゃいました。右眼-11D、左眼-10Dの強度近視で矯正視力は右1.2 左1.0と検査結果だけ見れば、まさにICLのちょうどよい適応ですが、年齢的にICLはすべきでないとお話させていただきました。
このご年齢でも、ICLで近視を矯正して裸眼で遠方を見やすくすることは理論的には可能です。しかし、その見える期間は一時的で、良好な見え方を長く維持することは難しいというか不可能です。その理由は、加齢により眼の状態が必ず変化してきますから、その変化により、せっかく入れてあげたICLのレンズが合わなくなってしまったり、近視以外の問題で見えにくくなってしまうからです。具体的には、一番問題となるのは、白内障の進行で、この患者さまの場合、矯正視力は良好なものの、既に白内障が出てきていました。なので、ICLを行うよりは、白内障の手術を行ない、濁った水晶体を取り除き、新たに入れる眼内レンズで近視を矯正してしまった方がずっとメリットがあると説明させていただき、ICLでなく白内障の手術を行う予定となりました。
50代以降ではせっかく費用をかけてICLを入れても、白内障が進んでしまうと見え方が悪くなってしまい、白内障の手術の時にはICLを取り出す一手間が加わり、メリットが少なく、それよりは、白内障の手術の時に眼内レンズで近視を治し、尚且つ、ICLの費用を多焦点レンズに回せば、老眼もある程度、改善でき、この方がずっとメリットがあるかと思います。このくらいの年齢の方でICLで近視を治したいとお考えの方は、参考にしていただければと思います。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m