院長ブログ

ERMの手術時期

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人と硝子体手術1人でした。
今日の手術は、白内障14件(iStent1件)と黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

今日、右眼の黄斑上膜で硝子体手術の申し込みをいただいた85歳の女性の方は、矯正視力は1.0でした。黄斑上膜の手術の適応ははっきりした基準はないと思っていますが、基本的には手術の意義があるかどうかだと思っています。視力がいくつ以下ならすべきというものでもなく、症状がどれだけあるか、手術して進行予防や改善が得られる見込みがあるかがポイントかと思っています。この患者さまは約2年前に白内障手術を行い、以降、黄斑上膜の経過も見てきましたが、最近になって歪みが強くなったという訴えがあり、OCT検査上も形状が悪く、ご本人も手術に意欲的だったので、手術を行う予定を立てさせていただきました。

白内障であれば、どんなに濁りが強くなり、視力が下がっても、手術さえうまくいき、きれいに濁りがとれて眼内レンズが入れば、視力は十分改善します。しかし、黄斑上膜では、黄斑の上に張った膜のせいで黄斑の形が悪くなってしまうことで、よくない症状が出てしまい、手術でできることは、その余計な膜剥がすことで、その結果、黄斑の形がよくなることを期待するしかありません。黄斑の形が悪くなり過ぎたり、悪い形が長く続くと、手術をしても改善の度合いが少なくなってしまいます。もちろん、手術をすることでも網膜にダメージを加えてしまうこともなくないので、黄斑上膜があっても全く症状も視力低下もない状況では、手術をすることはないですが、少しでも症状の改善や悪化の予防を期待するならば、早めの手術が望ましいと考えています。50〜60代の比較的若い人では、その後の人生のことを考えて積極的に考えた方がよいと思っていますが、今日の患者さまのように80代でもお元気な方で症状に困っているなら、手術を行うこともよい選択だと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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