院長ブログ

脂腺癌術後1年半

今日は午前は外来、午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人で、今日の手術は、眼瞼下垂4人、霰粒腫3人(2歳女の子、3歳男の子、46歳女性)でした。

今日の外来では、約1年半前に当院で、まぶたにできた悪性腫瘍(脂腺癌)の手術を行った60代の女性の方の経過観察がありました。脂腺癌の摘出手術では、腫瘍の周りに5mmのマージンを取り摘出すべきとされていますが、腫瘍+10mmとなるとまぶたは大きく欠損してしまい、他の部分から組織を移植するような再建が必要になり、大掛かりな手術になってしまいます。悪性腫瘍は転移を起こし、命の危険も出てきますから、大変でもきちんと手術を行うことが大事だと思います。ただ、この患者さまは事前に脂腺癌と分かっていた訳ではなく、摘出した組織の検査で診断がついたので、5mmのマージンは考えずに、基本的には腫瘍を単純に切除摘出するような手術を行いました。術後に悪性腫瘍の診断がついたので、追加切除や転移の有無をチェックする全身検査も必要かと思われましたので、癌研病院に紹介しましたが、まぶたに癌の遺残もなく、転移もみられないということで、定期的な経過観察のみで大丈夫のようでした。

以前、学会で脂腺癌の拡大切除がどこまで必要か?というテーマのお話を聞きましたが、脂腺癌も悪性の程度があり、あまり悪性度が高くない腫瘍は単純切除でもよいのかもしれません。たまたまかもしれませんが、今回の患者さまも単純切除で済んでよかったと思います。ただ、再発や転移の可能性はなくはないと思いますので、癌研病院でも定期的に画像検査をしていただきながら、当院でも引き続き3か月おきに経過を見ていきたいと思います。

 
↑術前と術後

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