今日は午前は外来、午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人、硝子体手術1人(硝子体混濁)、霰粒腫1人(5歳女の子)、睫毛内反症1人(13歳男の子)でした。
今日の手術は、眼瞼下垂3人、霰粒腫6人(1歳女の子、2歳女の子、3歳男の子、13歳女の子、50歳女性、61歳女性)でした。
HPの問い合わせの内容で多いのは、霰粒腫についてです。
①霰粒腫ができて、近くの眼科で点眼と眼軟膏で治療してもらっていますが、治りません。
②子どもにできた霰粒腫で、切開するなら全身麻酔と言われました。
③霰粒腫ができて目立つので切開して欲しいと伝えたら、切開するとキズが残るけれど、それでも切開しますか?と言われ、どうしたらよいか悩んでいます。
④霰粒腫を切開してもらったのですが、あまり変わらないのですが、先生はちゃんと取ったから様子を見るしかないと言われていますが、心配です。
⑤霰粒腫にステロイド注射の治療をしてもらったら、余計悪くなったようで困っています。
というような質問が多く、以下のように答えています。
①霰粒腫のしこり自体は点眼や軟膏で治るものではありません。もちろん、点眼や軟膏を使うこともありますが、それはあくまで炎症を抑えるためです。炎症がない状態で、点眼や軟膏を積極的に使う意味は乏しく(炎症を予防する目的で使う意味合いはありますが)、使っているからしこりが小さくなるものではないと思っています。なので、点眼や軟膏を使っていても、しこりがなくならないのは当たり前のこととお考えください。
②小児の霰粒腫はできないと言われてしまうこともありますが、そんなことはありません。全身麻酔で行う施設もあり、確かに、全身麻酔で切開することが、本人にとっては一番楽な方法であるかと思います。ただ、当院もですが、設備的に全身麻酔ができないクリニックも多く、そんな中でも霰粒腫の切開を行うには、少しでも楽なようにと、僕は鎮静剤の飲み薬を飲んでもらい、笑気麻酔を吸ってもらい、局所麻酔の注射をしての切開を行っています。全く泣かずにできることもありますが、どうしても泣きながらになってしまうことも多いですが、切開自体は10分程度ですので、頑張って切開させてもらっています。逆に、全く鎮静も注射の麻酔も使わない“無麻酔”で切開されている先生もいらっしゃいます。全身麻酔や無麻酔、僕のようなやり方と、何がよくて何が悪いということではありませんが、それぞれの医師(施設)が、それぞれの設備の中で、一番よいと思うことをできる限りしているということです。
③切開すれば、キズができることは当然です。ただ、しばらくは腫れも出ますし、キズも目立ちますが、基本的に、霰粒腫がきれいに取れれば、キズもきれいに治っていきます。キズができることは強調されやすいですが、その一方で、霰粒腫をそのままにしておく(放置しておく)リスクについては、触れられていないように思います。霰粒腫を残しておいて、自然に小さく目立たなくなっていくこともありますが、悪い霰粒腫をそのままにしておくと、ヤケドのケロイドのようなひどい跡を残してしまうこともあります。切開してしばらくはキズができますが、キチンと霰粒腫を取れば、キズもきれいになっていくのと、霰粒腫を残したままにして、取り返しのつかない跡を残してしまうのと、どちらを選びますか?という話で、治療することと治療しないこと、それぞれのメリットとデメリットをきちんと考えて、どうするか決めることが大事だと思っています。
④ 切開直後は腫れはあり、切開前よりも腫れが強くなることが普通ですが、しっかり霰粒腫を取っていれば、少しずつ腫れはひいていきます。しかし、霰粒腫をキチンと取ることは案外難しいです。特に炎症がある時期は、正常の組織と霰粒腫の境界の区別がつきにくかったり、アリの巣のように、拡がって存在していることもあり、取り切ったと思っても、残ってしまう可能性はなくはないです。当然、霰粒腫が残っていれば、腫れの引きも悪く、時間が経っても結果的に、切開前と変わらないように感じられてしまうこともなくはないです。もちろん、一度で治るに越したことはありませんし、そう思って切開していますが、病気の性質上、必ず一度で治るものではないと思っています。結果的に霰粒腫が残ってしまったとしても、それ自体が悪い訳ではなく、その後も、再度の切開を行うかきちんと見極め、必要に応じて、しっかり治療していくことが重要です。
⑤ステロイドの注射も薬自体が霰粒腫の組織を消すものではなく、霰粒腫のしこりの中に薬液を注入することで、しこりを破裂させ目立たなくする治療だと思っています。うまくいけば、しこりとしては目立たなくなるので、この治療を行われてはいますが、ステロイド注射後に悪くなっていらっしゃる患者さまも結構いて、あまりよい治療ではないと思っているので、僕は霰粒腫に対するステロイド注射の治療は一切、行っていません。
あと、他にもよくいただく質問が、
・遠方なので、当日切開をお願いできますか?
→基本的には一度、受診いただき、診察の上で、切開が必要かどうか、切開するならいつがよいかを判断し、切開の日程を調整させていただいております。
・切開したら、通院はどれくらい必要ですか?
→切開の翌日と1週間後、1か月後を目安に診察しています。場合によっては、その間に診察をお願いすることもあります。遠方で通院が難しい場合は、翌日のも診察させていただき、その後はお近くの先生にお願いすることや、翌日からお近くで診察いただく方もいらっしゃいます。
・すぐに切開してもらえますか?
→霰粒腫切開希望の患者さまが多く、すぐの対応は非常に困難な状況です。緊急性が必要な場合は、なんとかなるべく早めに緊急・臨時的に切開させていただくこともありますが、緊急性がない場合お待ちいただき、順番に切開させていただいており、申し訳ないですが、現在2〜3か月ほどの待機期間をいただいております。
霰粒腫の治療で受診やお問い合わせいただく前にこのブログを読んでご相談いただければと思います。よろしくお願いいたします。