院長ブログ

眼形成再建外科学会@旗の台 

今日は午前のみの外来でした。
手術の申し込みは、白内障1人とNSチューブ1人でした。

今日は“眼形成再建外科学会”という、まぶた(眼瞼)や眼の奥(眼窩)の病気についての学会が昭和大学主催で開かれており、僕も眼瞼の手術をしているので、久しぶりに旗の台まで行ってきました。

診療が終わり次第向かったのですが、着いたら夕方で最後の招待講演にようやく間に合うくらいで、このご講演は『人生の最終章を輝かせる緩和ケア〜死から生といのちを考える、医療者自身のケアも大切〜』というテーマで髙宮有介先生のお話でした。

髙宮先生は元々、外科の先生でターミナルケアをご専門とされ、そのご経験についてお話してくださいました。僕も最初は消化器外科医をしていましたが、当時、勤めていた大学病院に来る患者さんは、手術をして病気(癌)を治す目的の患者さんと家族がほとんどだったと思います。なので、残りの時間をどう過ごすかというより、最後の最後まで患者さん本人もご家族も病気を治すことを前提に手術を受けて、よく頑張ったと、まさに闘病で、その患者さんの頑張った姿を糧に、残された家族が頑張って生きていこうということが多かったように記憶しています。髙宮先生のお話では、癌の患者さんで治る見込みが乏しい場合、患者さん(やご家族)から『あとどれくらい生きられるのか?』と必ず聞かれるそうです。残された限りある短い時間の中で、受験前の高校生が残りの人生を勉強し続ける話、婚約したばかりの女性が病院で結婚式を挙げた話、母親から病名を隠されていても本当は知っていて、お母さんに自分がいなくなってからも頑張って生きてと手紙を残した女の子の話。残された時間の大切さ、その時間をどう過ごすか、自分にとっても周りの人にとっても、よい人生だったと思えるようにどう時間を使うか。今は健康と思っている自分にも、どれくらいかは分からなくとも、残りの時間というものはある訳で、しかも、その時間もあと何年何十年とあるかもしれませんが、明日まであるという保証もないのです。自分の人生の残りの時間てどれくらいだろうかなんてほとんど意識していませんでしたが、どれくらいの時間かは分からなくとも誰にも残りの有限な時間があるということだけは確かなことで、その時間がどれだけか分からない中、自分たちがすべきことは、伝えたいことを伝え、会いたい人に会い、1日1日を大事に過ごすことだと改めて教えられました。

聴く前は、ターミナルケアのことで眼形成とは無関係?と、正直、あまり勉強にならないかななんて思ってしまいましたが、結果的には僕にとって、今までの学会の中で一番、感動する講演となりました。話しの途中で涙が流れてくるのは初めてでした。

貴重な講演を聴かせてくださった髙宮先生、学会会長の恩田先生、どうもありがとうございました。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

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