院長ブログ

入れ換え後の見えにくさ

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障6人、眼瞼下垂2人、霰粒腫1人(11歳男の子)、硝子体手術(強膜内固定)1人でした。

4月に当院で両眼ともVivityを使った白内障手術を行わせていただいた50代後半女性の方が、『近くが見えにくくて、5焦点レンズに入れ換えたい』ということでしたが、海外輸入レンズのため、手術日は2か月くらい先になるとお話したところ、早く手術してもらえるところがあると、5月下旬に他院で右眼の入れ換えを結局、パンオプティクスで行い、『近くも遠くも余計見えにくい』といらっしゃいました。レンズの特性上、Vivityよりはパンオプティクスの方が基本的に近くは見えるようになります。レンズもきれいに入っていますし、度数計算もバッチリでしたが、本人的に見えにくいと感じているのは、パンオプティクスの方がコントラストがやや下がるので、全体的なスッキリ感は多少下がったように感じている可能性はありますが、おそらくは後発白内障の影響と思われました。通常、後発白内障はゆっくり進むことが多いですが、レンズの入れ換えをすると、急激に進むことがたまにあります。それほど強い後発白内障でもないのではっきりしたことは言えず、しばらくは様子を見ることになりますが、実際に見えにくさの原因が後発白内障であれば、時間の経過で更に見えにくさが進むので、それが判断の基準になるかと思います。もちろん、後発白内障はレーザーで濁りを取り除いてしまえば、見やすくなるので、その治療をすることで原因がはっきりしますが、後嚢を破ってしまうと、レンズの入れ換えが困難になってしまうので、YAGレーザーの治療をする判断は慎重にする必要がありますし、もしYAGレーザーをするとなっても、万が一のレンズ交換に備えて、後嚢の切開は少し小さめに行うことが大事かと思っています。

レンズ交換の後、思ったような見え方でないこともあると思いますが、後発白内障が進むことがあるので、あまり不安がらずに落ち着いて経過を見ながら治療方針を考えることが大事だと思います。

 

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