今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障5人、眼瞼下垂1人、霰粒腫2人(21歳女性、52歳女性)でした。
今日も眼内レンズの入れ換えについて相談したいと50代後半の男性の方が受診してくださいました。ただ、よくよくお話を伺うと、12年前に白内障の手術を受けて、最初はよく見えていたが、ここ半年くらいで見えにくくなったということでした。このお話から、疑われる病態は、眼内レンズが入っている水晶体の袋(水晶体嚢)の後面(後嚢)が濁って見えにくくなる”後発白内障“で、診察させていただくと、後嚢中央に強い濁りを認めました。この後発白内障の見えにくさに対しては、レンズの交換をする必要など全くなく、YAGレーザーで後嚢の濁りを切開する”YAG後嚢切開“をさせていただきました。
通常、眼内レンズの入れ換えが必要になるケースは、様々な理由で入れたレンズが合わないことが原因になるため、白内障の手術直後から見えにくさがある場合がほとんどです。なので、今回の患者さんのように術後しばらく経ってからの見えにくさは、後発白内障やレンズ偏位(眼内レンズの立体的なズレ)が考えられ、単純にレンズの入れ換えが必要になることはほとんどないかと思います(レンズ偏位では、物理的にレンズの取り出しと新たなレンズの挿入固定が必要になりますが)。
術後12年して、本当にレンズの入れ換えが必要だったら、どうしようかと思いましたが(実際に必要なら手術するしかないですが)、後嚢切開だけで終えられてよかったです。