院長ブログ

他の病気のある人の多焦点レンズ

今日は午前は外来、午後は手術でした。
手術の申し込みは、霰粒腫1人(33歳女性)、今日の手術は、眼瞼下垂2人、霰粒腫 6人(6歳女の子、7歳女の子、11歳男の子、52歳女性、33歳女性、73歳女性)、眼瞼内反症1人、睫毛乱生電気分解1人でした。

当院では、白内障手術予定の患者さんは、手術の申し込みの後、他の日に手術に必要な検査を行い、その結果を踏まえて、専門のスタッフより眼内レンズの説明とカウンセリングを行い、また後日(同日になることもありますが)、僕が術前の説明を行い、最終的に使用するレンズを決めるようにしています。

今日、術前説明だった60代後半の女性の患者さんは、多焦点レンズを希望でしたが、左眼に緑内障があるため、3焦点レンズのような回折型の多焦点レンズでは、支障が出てしまう可能性があったため、右眼は3焦点レンズ(PanOptix)、左眼は焦点深度拡張型のレンズ(Vivity)にすることにしました。

回折型の多焦点レンズは、3焦点レンズであれば、光を遠方、中間、近方と分けるような構造になっているため、それぞれの距離を、分けられた少ない光で見ないといけなくなるため、白内障以外の他の眼の病気があると、見えにくいと感じてしまうことがあります。そのため、単焦点レンズを使う方が無難は無難ですが、やはり、少しでも広い範囲を見えるようにしたいという気持ちが強く、多焦点レンズを使うとすれば、焦点深度拡張型(EDOF)の多焦点レンズが選択肢になります。このEDOFレンズは、光をロスすることなく伸ばすようなイメージでコントラストが下がりにくいとされ、他の眼の病気があっても使うことはできます。ただ、『使うことができる』という意味は、必ずしも視力がしっかり出るということではなく、マイナスにはならないという点で使うことができるということです。何か病気、例えば、加齢黄斑変性があって、単焦点レンズを入れても、視力が0.5しか出ない人はEDOFレンズを入れても、視力は0.5までしか出ません(回折型の多焦点レンズだと、0.5よりも下回ってしまうこともあります)が、単焦点レンズよりは広い範囲を見ることができるかと思います。このように、他の眼の病気があり、視力に影響がありそうな場合、シンプルに単焦点レンズを使ってもよいと思いますし、視力が出にくくともなるべく広く見たいと思えば、EDOF型のレンズを使ってあげるとよいかと思います。レンズの選択は考え方が様々なので、なかなか難しいですが、レンズの特性を知って、自分の眼、自分の見え方の希望に一番合ったレンズを選ぶことが大事だと思います。

今週は明日から学会のため休診とさせていただきます。ご不便おかけしますが、よろしくお願いいたします。

今週もお疲れ様でしたm(_ _)m

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