院長ブログ

ベストな治療とは

今日は一日外来でした。
手術の申し込みは、白内障5人、眼瞼下垂2人、霰粒腫3人(2歳女の子、41歳女性、50歳女性)、眼内レンズ交換2人でした。

今日、2歳の女の子が霰粒腫の治療相談で、お父さんと一緒にご来院されました。霰粒腫の患者さんは当院にいらしゃる前に、既に他の眼科を受診され、治らないから来たという方が多いのですが、特に小さな子の場合、『小さいから切開できない』とか『いずれ治るから待つしかない』などと言われていて、僕の霰粒腫に対する考えと違う説明をされていることもしばしばなので、一通り、霰粒腫という病気とその治療法について、説明をさせていただいています。霰粒腫は治すとなると切開が必要と考えていますが、明らかに切開しないといけない、切開すべきな霰粒腫もありますし、必ずしも切開しなくともよいものもあると思っています。また、治療に関しては患者さんやご家族の希望や意向も考慮しないといけないと思っています。

そのため、霰粒腫の説明をした後に、患者さんやご家族には、治療の意思や希望を伺っていますが、今日の霰粒腫の患者さんのお父さんからは、説明が終わった時点で、『それで、ベストな治療はどうなんですか?』と質問されました。お子さんの霰粒腫の状態を見た結果、どうするのがよいかを問うているようでしたが、どうも受診しているのだから、治したいのが前提という感じでしたので、しこりがしっかりある以上、切開するのがベストだと思いますとお伝えしました。

霰粒腫は治すならば切開ですが、必ず切開しないといけない訳ではないので、きちんと治したいのか、なるべく切開はしたくないのか、切開するなら、皮膚側から切ってもよいのか、避けたいのか、その辺りの意向を踏まえた上で、霰粒腫の状態からどのような治療をすべきかというのが、総合的にベストな治療の答えだと考えています。

テストの問題のように、写真を見て、最適な治療を選びなさいとうような単純なことではなく、同じ霰粒腫でも、ある人にはベストな治療であっても、またある人には、そうでないということもありうるのが、霰粒腫などの良性疾患の治療だと思います。僕が医者になりたての頃、先輩から、『良性疾患の治療は難しい』と教わりましたが、それから20年近く経っても本当にそうだと思います。良性疾患だからこそ、答えが一つではないですし、必ずしも手術しないといけない訳でない病気はより慎重に手術しなければならないということです。

病気の状態だけ見て、すぐ答えが出る病気もありますが、そういうことは少なく、色んな要素、患者さんの背景や意見、気持ちを踏まえ、その人にとって一番よい方法は何かと考え導き出す答えがベストな治療だと僕は考えます。

当時は消化器外科でしたが、科は違って眼科でも本質的には変わらないことだと思います。医学も時代によって変化は大きいですが、そういう、ずっと変わらない大切なことを教えてくださった先輩の存在は、とてもありがたかったなと今でも思います。どうもありがとうございましたm(_ _)m

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