院長ブログ

10代の白内障手術

今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障2人と霰粒腫1人(3歳女の子)でした。

今日、白内障の手術を申し込みいただいた方の一人は18歳でした。いわゆる“若年性の白内障”で、原因としては、先天的(生まれつき)、外傷(けが)、内科的な代謝性疾患、アトピーなどが考えられましたが、小さな頃からずっと見えにくかった訳でもなく、アトピーや他の内科疾患もなく、原因ははっきりしませんでした。ただ、原因がなんであれ、水晶体の濁りが強く、視力が低下してしまっている以上は、年齢が若くとも治療として、手術が必要になります。手術そのものは、一般的な白内障好発年齢の高齢者でも若年者でも、水晶体の濁りを取り除き、新たな眼内レンズを入れる全く同じ手術になります。とはいえ、高齢者と若年者で、いくつか違う点もありますが、一番、違うのは、それから先の残りの人生の長さかと思います。70歳や80歳くらいであれば、白内障以外の眼の病気が出る人は出ていますし、残りの人生があと20年として、決して短くはないですが、今後、緑内障や黄斑変性など視力に影響を与えるような病気が出るかどうかの眼の寿命もある程度は予測がつくかと思います。そうい状況であれば、どのようなレンズが向いていいるとか、使える、使えないは言いやすいのですが、若年者では今現時点ではもちろん、白内障以外は全く健康な眼であることが多くとも、それから先、50年以上先までずっと健康な眼かどうかは、全く保証がないというのが正直なところです。多焦点レンズを入れておいて、将来、大人になって、何かしらの重大な眼の病気が出てしまうと、その多焦点レンズが不利に働いてしまうこともあります。このような、万が一、というよりはもうちょっと確率の高いことに対して、備えてレンズを選ぶのか、もちろん、杞憂で余計な心配になる可能性も

十分あることなので、そこまで変に考えないで、今、一番よいと思うレンズを選ぶことも選択としては決して悪いことではなく、考え方かと思います。

将来、何か病気が出ても困らないように単焦点にするのもアリかと思いますが(この場合も、単純な単焦点でなくアイハンスなどの焦点の幅がよりある単焦点でよいかと思います)、老眼の感じが強くなってしまうのを少しでも軽減したいなら、多焦点を使うことになりますが、多焦点なら焦点深度拡張型(Vivity)にしておいた方がよいかなと思います。Vivityだとトーリックタイプがないので、角膜乱視があると使いにくいのですが、乱視は年齢で変化し、直乱視は倒乱視化するので、多少の直乱視の場合は、それほどシビアに考えなくともよいのかなと思います。また、近視は20代でも少し進む人もいるので、今の眼にピッタリ合わせても、どうしても年齢変化の影響は多少はあると思うので、将来的に屈折矯正が必要になる可能性はあるかと思いますし、逆に、その点では、いくつか方法があるので、あまり心配し過ぎなくともよいのかなと思います。

色々、考える点はありますが、将来のことを見据えつつ、快適な生活が送れるようなよい選択ができるようなサポートをしたいと思います。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

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