院長ブログ

バックル除去

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人で、今日の手術は、白内障16件、硝子体混濁の硝子体手術1件、バックル除去1件でした。

今日の手術では、だいぶ昔、網膜剥離のバックリング手術で使われていたマイラゲルという素材のバックルの除去がありました。バックリング手術では眼球の外側から当て物(バックル)により眼を凹ませて、網膜への硝子体牽引を解除し、網膜剥離を治す方法ですが、このバックルで水分を吸うことでボリュームが増加し、より眼球を圧迫する力を作り出す素材として、マイラゲルが使われた時期がありました。しかし、このマイラゲルは想定以上に膨張して様々な合併症を作り出す問題が生じ、今は使われなくなっています。それでも、この患者さんのように長い間、眼球の運動障害、結膜の異常充血、眼瞼の内反など、マイラゲルの合併症に悩まされている方もいらっしゃいます。手術では、下方の結膜を切開し、バックルを露出させ、掻爬ないし、吸引で可及的に摘出除去し、結膜を縫合して手術を終えました。バックルと強膜(眼球の壁)が癒着し、無理にバックルを取ろうとすると、強膜が穿孔してしまう合併症が起こるといわれていますが、今回もですが、今のところ、バックルと強膜は変に癒着していることはなく、逆にきれいに取れる印象です(一部、強膜自体が硬くなっている部分はありましたが)。また、バックルを取り出すと、網膜剥離が再発するのではと心配される方もいらっしゃいますが、長年、バックルが置かれていると、眼球自体が凹んだ形に変形してしまうので、基本的には取り出して問題ないかと考えています。

長い間、バックルがあることで生じた変化は、なかなか、バックルを取り出せば完全によくなるというものではありませんし、むしろ、改善がほとんどない可能性もありますが、置いておいてもよくなることもないですし、少しでも改善が得られればと今回の手術をさせていただきました。時間は1時間くらいかかってしまい、ちょっとお辛かったかと思いますが、少しでもよくなってくれるといいなと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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