院長ブログ

左右は揃えないと?

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障7人、眼瞼下垂1人、霰粒腫2人(4歳女の子、5歳女の子)、硝子体手術2人(黄斑上膜)でした。

白内障の手術を受ける患者さんからよく聞かれることに『左右の眼内レンズは揃えないといけない?』という質問があります。

今日も先週、単焦点レンズの中間合わせで右眼の手術を受けた60代の女性の方から、『確かに一番見たい中間距離はしっかり見えるし、遠くも近くもある程度は見えるけれど、やっぱり遠くも近くも眼鏡が必要になりそう。反対の眼も同じレンズで揃えないといかないかしら?多焦点レンズを入れるのはどうですか?』と聞かれました。

両眼の白内障手術の場合、両眼で同じレンズ、同じような度数で合わせることが基本ではあるかと思います。ただ、それは“バランス”という点から見た考えです。当然、左右で同じような見え方の方が違和感は出にくく、バランスのよい見え方にはなると思います。しかし、必ずしも、左右でレンズを揃えないといけないことはないかとも考えています。片眼の手術をして、見え方がイマイチであった場合、もう片方にも同じようなレンズで、そのイマイチな見え方に合わせる必要は全くないかとおもいます。例えば、今日、相談をいただいた女性の場合、左眼も中間合わせにすると、結局、遠近共に眼鏡が必要になる可能性が高く、それを避けたいと思えば、遠近どちらかに合わせることで、合わせた方は眼鏡をかけずに過ごせるようにもできると思いますし、多焦点レンズにすれば、遠近共に裸眼で見えるようにもできると思います。

ただ、単焦点で左右で差をつけ過ぎると、それはそれで違和感がでてしまいますので、気をつけなければなりませんが(片方を遠方、もう片方を近方に完全に合わせるモノビジョンは違和感が出てしまう人も多いと感じています、、、)、この患者さんの場合は、最初の手術で中間に合わせているので、もう片方を遠方に合わせても近方に合わせても、それほどは問題ないかと思われました。結局、元々、最初から多焦点を考えていたこともあり、左眼は多焦点レンズ(3焦点)にすることになりましたが、よい選択だと思いました。

左右を揃えてバランスを取ることはレンズの選択の要素の一つで、絶対的なポイントではなく、バランスを崩してでも、見えにくさをカバーすることを優先すれば、左右で異なる度数、異なる種類のレンズにすることも決して、いけないことではないと思います。

ちなみに、左右で同じようなピントを狙うとしても、レンズの度数は0.5D刻みで、その中から選ぶ必要があり、必ずしも同じ見え方になる訳ではないですし、左右で眼の構造は差がある場合も多いので、同じピントの設定でも、左右で使うレンズの度数が異なることもあります、というか、異なることが多いです。当院では、術後にレンズの種類や度数の書いてあるカードを渡していますが、左右で違う度数だと、間違えた?と心配する方もいらっしゃいますが、決して間違いではありませんので、大丈夫です(左右で眼鏡やコンタクトレンズの度数が異なることがあるのと一緒です)。

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