院長ブログ

レンズの脚が残ると

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障8人、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(7歳男の子)でした。

今日は白内障術後のレンズの入れ換え相談で、仙台から50代後半の男性の方がいらっしゃいました。この患者さんは、他院で5年前に多焦点レンズ(PanOptix)を使った白内障手術を受け、半年後にレンズ入れ換えの手術をミニウェルで行ったそうですが、レンズの癒着が強く支えの部分(ハプティクス)が残った状態で新たなレンズを入れたそうです。ところが、術後にレンズのズレが生じ、常に二重に見え、異常光視症も強く、そちらの先生から当院を紹介されて受診されたそうです。

単焦点レンズであれば、多少のレンズの傾きや中心のズレは見え方に影響しないことが多いのですが、多焦点レンズはそうはいかない難しい面があります。遠方から近方まで見えるための複雑な構造がために、単焦点レンズに比べると、レンズのズレや傾きの許容範囲はずっと狭く、ブレて見えたり、光が斜めから入ってくるような見え方をしたりと不快な症状を生じて困ってしまう場合もあるかと思います。

僕も時々、癒着が強い場合に、ハプティクスを残して入れ換えをすることはありますが、その時に入れ換えるレンズは、残ったハプティクスが影響しないものを選択すべきだと考えています。ハプティクスが残っているのに、ミニウェルのようなハプティクスが4つもあるようなレンズでは、どうしても残った前のハプティクスが干渉してしまい、レンズのズレが出るのは当たり前のことかと思います。なので、この患者さんの治療方針としては、残ったハプティクスを摘出し、レンズの位置を修正することを第一の目標とし、それが難しい場合は、残ったハプティクスが影響しないようなレンズへの入れ換えを提案させていただきました。

患者さんがご自分で選択できるものではないかもしれませんが、レンズの脚が残ると、多焦点レンズや乱視用のレンズは使うのが難しくなることがあり、無理をして入れてしまうと、結果的にレンズの偏心・傾斜を来たし、余計に悪い症状が出てしまうこともあるので、前のレンズを取り出した時に、次に入れるレンズを予定通りでいけるのか、他のものを使った方がよいのかを術中に見極めることが非常に重要で、レンズ交換の難しいところだと僕は思っています。前の先生もたくさん考えて手術してくださり、決してそれが悪かったとかの話しではないのですが、結果として不本意な状況になり、それをよくできると思われる手立てがあれば、行う価値は十分あるかと思いますので、頑張って手術したいと思います。

今日も遅くまで外来、お疲れ様でしたm(_ _)m

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