院長ブログ

ゴアテックスの逸脱

今日は午前は外来、午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障1人、眼瞼下垂2人で、今日の手術は、眼瞼下垂3人、涙管チューブ挿入1件、吊り上げ素材逸脱切除1件、霰粒腫5人(3歳女の子、4歳男の子、65歳男性、79歳女性)でした。

眼瞼下垂の手術は通常、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の腱膜を新たに瞼板に縫い付ける手術を行いますが、眼瞼挙筋の機能自体が低下しているといくら挙筋腱膜を縫縮めても下垂の改善は得られないため、瞼板とおでこの筋肉(前頭筋)をシート(ゴアテックスシート)などでつなぎ、前頭筋を使うことでまぶたが挙がるようにする“吊り上げ法”を行うことがまれにあります。

ちょうどよい程度にシートの長さを調整して縫い付けますが、どうしても挙がり方が足りなかったり、挙がり過ぎということもあります。挙上不足であれば、シートを短く縫えば済みますが、挙がり過ぎの場合、シートを下げなければなりません。初回にピッタリで切ってしまうと、下げることができなくなってしまうので、若干余裕を持った位置を縫合し、余りの先端部分は頭側にスペースを作り、埋め込むようにして、皮膚を縫合してきます。

今日はそのシートが皮膚の表面に飛び出してしまった方の修正を行わせていただきました。通常は、出てくることはほとんどないのですが、この方の場合、術後に感染を起こしてしまい、キズやシートの洗浄をしばらく行ったため、頭側のスペースから皮膚側に先端が向いてしまい、次第に表面に出てきてしまったと思われました。

挙がり方としては問題なかったため、飛び出しているシートを切除して、皮膚を縫合する処置を行わせていただきました。何度も処置が必要になってしまい、申し訳ありませんでしたが、これが最後の処置になってくれればと思います。体の中に異物を入れることは、医療ではでよくあり、多くは問題にはなりませんが、体の外に部分的に出てしまった場合は、どうしても感染のリスクが出てしまいますので、もしそのようなことがあれば、早めの受診をするとよいと思います(まず、ありませんが、ゼロではないので)。

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