院長ブログ

レンティスの入れ換えは難しい

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障と眼瞼下垂が1人ずつで、今日の手術は、白内障12件、翼状片1件、眼内レンズ交換1件、霰粒腫1人(2歳男の子)でした。

今日の手術の眼内レンズ交換は60代前半の女性の方で、6月に他院でレンティスを使った白内障の手術を受け、ピントを40〜50cmに設定したところ、少し離れたところも見えにくく、不便さを感じてしまい、また同じレンティスでもう少し遠くに合わせて入れ換える方針で手術を予定しました。

レンティスは多焦点に近い性格もあり、コントラストが下がったり、異常な光の線が見えたりという不快な見え方をしてしまう場合があり、この時はレンティス以外の他のレンズに入れ換えることが多いのですが、今回の患者さんの場合、レンティスそのものの見え方が悪い訳ではなく、単純にピントが近いことが問題であったため、度数を変えたレンティスを入れることを第一の目標としました。第一の目標があれば、第二の目標もある訳で、もし、レンティスがうまく入らなそうな場合は、少し遠方に合わせたアイハンスを入れることも候補として考えていました。なぜ、レンティスがうまく入らない場合まで考えるかというと、レンティスは柔らかい素材なのですが、形が長方形の形をしており、初回の白内障の手術では水晶体嚢が柔らかく伸縮性があるので、このようなプレート型のレンズでもすんなり水晶体嚢の中に入ってくれるのですが、手術から時間が経つと、個人差はありますが、水晶体嚢が硬くなり、レンズを入れる窓の部分(前嚢切開)の縁が硬く伸びなくなります。その上、入れ換えでは多少はチン小帯に負担がかかり、水晶体嚢の支えが若干弱くなります。そのような状況で、プレート型のレンズを入れることは結構、苦労する場合があり、入れようと思っても結果的にうまく入らず、取り出し、他の1ピースタイプのレンズを再度、入れ直さねばならなかったり、なんとか入れても、術後に思ったように度数が変わらないということもあります。

そのため、レンティスからレンティスの入れ換えでは、レンズを取り出すまではいいのですが、その後、予定通り、レンティスでいくか、他のレンズを使うかの術中判断がとても難しいと感じています。ただ、基本は患者さんの希望をなるべくは叶えたいと思うので、予定通りでいくことが多く、今回もちょっと悩みましたが、レンティスを選択し、やはり若干入れにくくて手間取りましたが、なんとか予定通りの手術をすることができました。眼には負担がかかったと思うので、視力が回復するには少し時間がかかると思いますが、落ち着いて、思ったような見え方になってくれるといいなと思います。

最初の白内障の手術がうまくいかず、入れ換えの手術を受けることは、また勇気のいることだと思いますが、きっと、少しでもその気持ちに応えられるように頑張らねばと思って手術しています。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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