院長ブログ

片眼の多焦点がうまくいかない時は

今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障2人と眼瞼下垂1人でした。
以前、当院で白内障の相談で一度、受診された50代の女性の方が、結局、他院で左眼の白内障手術を受け、その後のご相談で再度、いらっしゃいました。

元々、強度近視で手術では多焦点レンズ(シナジー)を入れたところ、すっきり見えず、近くも見えにくいということで、単焦点に入れ換えることを希望されたそうですが、主治医の先生からは『安全に入れ換えられる時期が過ぎてしまった』と言われ、困って来院されたそうです。よく患者さんからも『入れ換えは術後何ヶ月までできますか?』と聞かれることはありますが、術直後でもちょっとしたことで問題になってしまうこともありますし、術後数か月、数年経っていてもうまく入れ換えができることもあります。ただ、時間が経っていた方が入れ換えが難しい場合もあるので、そういう意味で安全にできないと言われたのだと思いますが、そのリスクは承知の上で、入れ換えを希望されたものの、結局断られたそうです。

それなら、こちらで入れ換えますと言えば、事は簡単なのですが、今の状況として、左眼は多焦点が合わない可能性はあるものの、硝子体の混濁もあり、それが見えにくさを助長しているかもしれないのと、右眼の白内障が残っていることを考慮する必要がありました。そのため、左眼の硝子体手術を行うことも一つの選択肢になりますし、右眼の白内障が残っているので、まずは右の白内障手術を単焦点レンズで行い、その見え方がよいのであれば、その後、左眼のレンズ入れ換え、右眼を単焦点にして、左眼の多焦点のよいところもあると感じられれば、左のレンズはそのままに硝子体の混濁を取ってみるという方針がよいのではと伝えさせていただきました。

くっきり見える指標であるコントラスト検査を行ったところ、手術した左眼よりもまだ白内障のある右眼の方がよい結果で、コントラストの低下が見えにくさの原因ではあるとは思われたので、右眼も多焦点にすると、余計に見えにくくなってしまうと予想されましたので、まずは右眼を単焦点で手術するのが第一歩かと思いました。

もう何も手立てがない訳ではないので、よく考えてよい治療を受けて欲しいなと思います。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

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