院長ブログ

焼き鳥法?

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障6人で、今日の手術は、白内障12件、眼内レンズ2次挿入1件、眼内レンズ交換1件、硝子体手術1件でした。

今日の手術で白内障の手術を受けていただいた60代の男性の方は、両眼ともかなり進行した白内障で、先週の金曜日により進行した左眼の手術を無事終え、今日は右眼の手術でした。前嚢切開までは全く問題なく終え、水晶体の袋と濁りの間に水を流し分離するハイドロダイセクションという操作を行った際に、水晶体が後方に下がるような挙動を感じ、ちょっとおかしいと思いましたが、その後、超音波で水晶体を破砕吸引しようとしたら、あっと言う間に水晶体が眼の奥に落ちていってしまいました(水晶体落下)。普通はそうないのですが、進行した白内障の場合、水晶体が膨張しており水晶体嚢がパンパンに張って薄くなっていて、ちょっとの不可で破れてしまうことがあり(普通に膨らませた風船はそうでなくとも、パンパンにギリギリまで膨らませた風船はちょっとの刺激で破裂してしまうのと同じようなイメージです)、今回も、後嚢に亀裂が生じて超音波の器械の水圧で容易に落下してしまったと考えられました。このようなケースでは、落ちた水晶体を取りのぞくために硝子体手術が必要になりますが、どうしても時間がかかってしまい、そのまま硝子体手術へ移行することは難しいので、申し訳ないのですが、その場では、前の方に残った白内障の濁りや脱出してきた硝子体を処理する前部硝子体切除(A-Vit)までさせていただき、硝子体へ落ちた濁りの処理や眼内レンズの挿入は、近いうちに日に改めて他の日にさせていただいております。しかし、今日の患者さんは、ご自宅が静岡で、先週手術した左眼もまだ見えにくく、右眼にレンズが入らない状態では困るということで、まずその場ではA-Vitまでさせていただき、本日の手術の一番最後に硝子体手術を行うようにさせていただきました。

水晶体落下の硝子体手術では、硝子体を切除した後に、落下した水晶体を処理しますが、小さな濁りであれば、硝子体カッターで吸引できますが、今回はほぼ丸ごと水晶体が落下してしまい、吸引口が小さな硝子体カッターでは到底処理しきれず、水晶体にジアテルミーという器具を突き刺し、前房まで持ち上げ、超音波の器械で破砕吸引する方法で水晶体を処理しました。この方法は経堂で開業されている朝生先生が考案され、ある名前がつけられていたので、手術中、看護師に『この方法の名前なんだと思う?』と聞いてみたところ、『焼き鳥法ですか?』という答えが返ってきましたが、ちょっと惜しいですが不正解で、正解は『ケバブ法』でした!以前はわたあめ法と言っていたそうですが、国際的に広めるためにケバブに変えたようです。我々日本人には焼き鳥の方が馴染みがあるかもしれませんが、串刺しになった水晶体を回しながら超音波の器械で少しずつ崩して吸い取る様は、串に刺さった肉を削ぎ落とすケバブとそっくりです。ケバブ法は特別な器具も必要なく、侵襲も少なく、とてもよい方法だと思います。

途中、少し間を置き2回に分ける形になってしまいましたが、なんとか無事、その日のうちに眼内レンズを入れることができてよかったです。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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