院長ブログ

角膜細胞が少なくとも

今日は午前が外来で午後は処置で、手術の申し込みは、白内障4人と黄斑上膜の硝子体手術1人でした。

今日の外来では、先週の水曜と金曜に白内障の手術を受けていただいた83歳の女性の方の術後の診察がありました。この方は角膜の内皮細胞が少なく、地元では手術をしてくれるところがなく、わざわざ熊本から横浜まで手術を受けにいらっしゃいました。角膜内皮細胞は手術を受ければどうしても多少減少しますが、だからといって、手術しない方がよい、手術は危険ということには必ずしもならないと思います。白内障は年齢で必ず進行しますが、進行すればするほど、手術の際の眼に対する侵襲は大きくなります。なので、先延ばしにしてよっぽど白内障が進行してからの手術で、その侵襲が大きく角膜がもたなくなってしまう可能性を高めてしまうよりは、ある程度のところで手術してあげた方が、負担を少なく手術できプラスになると、僕は考えています。

もちろん、結果的に角膜が悪くなり水疱性角膜症になってしまい、角膜移植が必要となってしまうことも可能性としてはなくはないですが、昔のように角膜全体を切り取って、新たな移植角膜を縫い付けるのではなく、今は角膜の内側の内皮細胞だけを取り出し、貼り付けるような内皮移植ができ、以前よりは角膜移植の負担も少なくなってきているかと思います。

今回の患者さんは、術前の角膜の細胞が、800くらいでしたが、術後も角膜の浮腫は全くなく、視力も遠視が強く0.1〜0.2しか見えていなかったのが両眼とも1.2まで回復し『本当に手術してよかった』と言ってくださいました。

角膜の細胞が少なく、手術して水疱性角膜症になり、かえって見えにくくなってしまったら、『見えない』と文句を言われる可能性があり、手術をしない方がリスクが少ないと考える眼科医もいるかもしれません。しかし、それはあくまで自分にとってのリスクであって、患者さんのことを考えたら、リスクを上げることになってしまうと思います。術前に水疱性角膜症になる可能性は話す必要がありますが(角膜の細胞が正常であってもその可能性はゼロではありませんが)、そのことを理解していただければ、なるべく角膜に負担がかからないように最前の努力をして手術を行い、もし水疱性角膜症になってしまったら、その時はその時で次の手段を考えればよいのではと思います。

なので、角膜内皮細胞が少なくとも、白内障の手術をした方がよい人は、なるべくなら先延ばしにせず早めに手術すべきだと僕は考えています。

ちなみに、遠方からの患者さんの両眼の白内障手術の場合、当院では水曜と金曜に手術を受けていただき、手術の翌日と、もう1回、週明けくらいに診察させていただき、その後の経過観察はお近くの先生にお願いするようなパターンが多いです。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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