院長ブログ

乱視が残っているけれど

今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障2人と霰粒腫3人(4歳男の子、36歳女性、46歳女性)でした。

今日、他院の白内障の術後の不具合のご相談で受診された50代後半の患者さんは、元々、乱視があり、担当の先生に伝えたが、『角膜乱視はないので乱視用のレンズは使わなくて大丈夫です』と言われたものの、左眼は乱視が残っているような見えにくさがあるため来院されました。

Vivityという多焦点レンズが使われていましたが、左眼は1D強の乱視が残存し、裸眼の遠方視力は0.5でご本人が感じている通り、乱視による見えにくさと思われました。

乱視は主に角膜と水晶体のカーブの不均一さから生じ、ブレるような見え方になります。1D以上の乱視があると裸眼視力に影響が出るとされていますので、僕は白内障の手術では、乱視を1D以下にすべきと考えています。手術の前に乱視があると感じている患者さんは、眼球全体の乱視を感じている訳ですが、白内障の手術で大事になってくるのは“角膜乱視”の程度です。乱視があると感じていても、角膜乱視がほとんどなく、それがほぼ水晶体からの乱視であれば、白内障の手術で水晶体は取ってしまいますので、それだけで乱視の矯正になってしまい、眼内レンズに乱視矯正の度数(トーリック)を入れる必要は全くなくなります。逆に、術前に乱視がないと感じている人でも、角膜乱視と水晶体乱視がうまく打ち消し合っていて、結果的に乱視がないと感じている場合には、手術の後には角膜乱視のみ残りますので、きちんとトーリックレンズを使ってあげないと、乱視の見えにくさに困ってしまうこともあり注意が必要です。

理論はそれほど難しくないのですが、現実的には、検査でうまく検出できない乱視の成分があったり、トーリックの度数の計算の精度、軸がピッタリ合うかなどの問題もあり、なかなか思ったように乱視が減らないこともあり乱視のコントロールは難しい面もあります。

今日、ご相談にいらした患者さんも角膜乱視が1D強残っていましたので、今日のデータだけ見ると、トーリックレンズを使った方がよかったのかと思われましたが、手術で眼に切開を入れれば、乱視が変化することもあり(惹起乱視)、乱視は残っていますが、術前のデータを見てみないと、トーリックを使うべきだったかどうかの判断はできませんし、もし術前に角膜乱視がなく、術後に惹起乱視が出てしまっているならば、今後、経過で治ってくることも十分あるのではとお話させていただきました。

おかげさまで今日で46歳になりました。昨日、スタッフの皆んなから祝っていただいて、ありがたいことでした。よい47歳を迎えられるようにまた1年頑張ります。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

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